バリの「祈り」鮮やかに 画家・井手さんが個展 文化や宗教テーマ 茨城県五浦美術館

現代日本画壇をけん引する日本美術院同人、井手康人さんの個展「井手康人展-共鳴する祈り」が茨城県北茨城市大津町の県天心記念五浦美術館で開かれている。井手さんが長年取材を続けるインドネシア・バリ島の文化や宗教をテーマにした大作を中心に、過去最大規模となる28点を展示。精緻(せいち)な筆致と鮮やかな色彩で描かれた女性や動植物が、会場内に静謐(せいひつ)な「祈り」の共鳴を広げている。
井手さんは1962年、現在の福岡県北九州市生まれ。東京芸術大で平山郁夫氏に師事した。平山氏が「陸のシルクロード」から仏教の源流をたどったのに対し、井手さんは94年に初めに訪れたバリ島に独自の「祈り」の形を見いだした。現在は同院の中堅実力者として画壇を支える。
今回の個展ではバリ島の文化や宗教を題材に神話的世界を描いた作品や近年の富士山シリーズを集め、井手さんの画業を網羅した。
圧倒的な存在感を放つのがクジャクをモチーフにした大作「山乃神」(2021年)だ。クジャクは江戸期の円山応挙が写生に基づく表現を確立して以来、日本画での装飾美の象徴となってきた伝統画題。井手さんはそこに独自の幻想性を注ぎ込み、写実を超えた生命の輝きを加えた。
06年に第12回天心記念茨城賞を受けた「奏園」も展示され、宗教と日常が融合したバリの濃密な空気感を伝えている。
近年の富士山シリーズはコロナ禍でバリ島への渡航が遮断されたことを機に、日本の自然信仰のシンボルへと目を向けた新境地。山肌や空には花々の形態が敷き詰められ、普遍的な「祈り」の精神を感じさせる。
井手さんは「バリ島の風土や人々に魅せられ、30年以上描いてきた。本展はその集大成。人間が自然に対して抱く恐れや豊かさ、目に見えない力とのつながりを感じてもらえれば」と話した。
11月15日まで。月曜休館。9月21日、10月12日開館。9月24日、10月13日は休館。同館(電)0293(46)5311。
北関東を感じる観光情報サイト 










