「黒川能」鮮烈な表現 筑西で洋画家・森田茂展 茨城

茨城新聞
2026年6月25日

文化勲章受章者で旧下館町(現・茨城県筑西市)出身の洋画家、森田茂(1907~2009年)の企画展「森田茂展-黒川能の世界-」が、筑西市大塚の廣澤美術館で開かれている。絵の具を厚く塗り重ね、鮮烈な色遣いで能の幽玄な世界などを表現した作品33点を展示する。同展は8月30日まで。

黒川能は、山形県鶴岡市黒川地区で約500年受け継がれてきた郷土芸能。現存の能楽五流派に属さない独自の伝承を続け、古い演目や演舞が多く残るとされる。

会場で際立つのは、赤茶や黄色、白などの絵の具を大胆に使った「黒川能獅子座」。盛り上がった絵の具が能の演者を躍動的に浮かび上がらせ、迫力を醸し出している。入り口には、初期に制作された「能の獅子」も展示され、作風の変遷をたどることもできる。

森田は1966年に黒川能と出合い、農村の生活が溶け込んだ素朴な舞に魅了された。後に自身も能の稽古に打ち込み、舞台の空気を作品に再現するようになった。

企画展では、森田が郷土芸能を題材に選んだ背景を解説。幼少期に重い肺炎にかかった際、信仰心があつい祖母が神仏に祈り、奇跡的に助かったというエピソードや、旧下館町の神社の祭り、自然風景などを作品の原点として紹介する。

このほか、ボタンやバラなどの静物画も初公開。福嶋達也副館長(39)は「重厚感ある筆遣いと、迫力ある能の様子を見ていただきたい」と呼びかけている。