3メートル超、刺しゅう仏画 信楽寺の「涅槃図」公開 茨城・取手

茨城新聞
2025年10月6日

江戸時代に刺しゅうで作られた仏画の掛け軸が、茨城県取手市吉田の市埋蔵文化財センターで公開されている。つるすと高さ3メートルを超える大きさで、刺しゅう製は全国的にも珍しいといい、貴重な文化財を見ることができる。

掛け軸は同市宮和田の信楽寺(しんぎょうじ)が所蔵する「絹本(けんぽん)金箔地刺繍(きんぱくじししゅう)釈迦涅槃図(しゃかねはんず)」。2010年に市指定有形文化財になった。絹地に刺しゅうでシャカが亡くなった様子と動物や昆虫、竜などの生き物が嘆き悲しむ姿を表現している。

江戸時代前期の1669(寛文9)年の制作。高さ約3.6メートルで幅約2メートル。約200年後に修理された。刺しゅうで作られた涅槃図は全国に約20件あり、非常に珍しいという。

制作費用を寄進した人の名前と戒名、村名が周囲に記されている。同センターは昨秋から半年かけて調査した結果、判読できた人数は約7000人、約70カ村だった。村は取手を中心に東西約43キロ、南北約15キロの範囲。村の内訳はいずれも宮和田、藤代、高須の順に同寺の周辺が多かった。

同センターは「当時の人がきちんと修理しているから今も文化財が残っている。引き継いできた思いを感じてほしい」としている。

市内の指定・登録文化財全13件を紹介する企画展で公開されており、期間は26日まで。入場無料。問い合わせは同センター(電)0297(73)2010。