移動式ホテルがオープン 境 東京のベンチャーが運営

茨城新聞
2020年5月23日

 立教大の長坂俊成教授が社長を務めるベンチャーのスタンバイリーグ(東京都千代田区)が運営するムービングハウス(移動式木造住宅)のホテル「ホテルスタンバイリーグさかい」が境町に完成し、2棟全47室を備えてオープンした。工場内で製造した家具付き一般木造住宅(ユニット)をトラックに載せて設置場所まで輸送。各ユニットを連結したり、ばらしたりすることで簡単に移動ができ、大規模災害時には被災地に送ることで即座に応急仮設住宅に早変わりするのが特徴だ。
 
 ホテルはA棟にツイン2部屋、A棟B棟にシングル45部屋の計47室。大型ベッドや研修ホール、共有キッチン、ネット環境などを備える。宿泊費はシングル1泊6千円、ツイン9千円、貸し切り利用33万円(いずれも税込み)。首都圏中央連絡自動車道(圏央道)境古河インターチェンジ近くに立地している。

木材をふんだんに使用したムービングハウス。研修や会議で使用できるホールの隣にはキッチンも備えた=境町


 
 東京五輪アルゼンチン選手団の事前キャンプ地になっている同町が同国選手団の宿泊施設として整備してきた。総事業費は約3億5千万円。町は国の地方創生拠点整備交付金で50%を賄い、13.5%を交付税措置、残り36.5%を賃料で回収するスキームだ。スタンバイリーグが指定管理者となり、町に賃料を支払う。
 
 当初は選手やスタッフの宿泊で8月まで予約が入っていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で五輪開催が1年延期に。宿泊を見込んでいたアルゼンチンチームの施設利用が来夏に先送りとなり、同社は「苦しい状況だが目標達成に向けて頑張りたい。テレワークなどで施設を利用してほしい」と呼び掛けている。
 
 長坂教授らが掲げる目標は境町でのホテル運営を皮切りに、今後5年間で国内100カ所にムービングハウスの拠点をつくる計画で、災害に強い社会を目指していくもの。宿泊施設として使用しているムービングハウスを災害時に被災地に送って応急仮設住宅として利用するのは「全国初の試み」で、境町から全国へ順次拡大させたい考えだ。

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