群司次郎正の直筆原稿 小説刊行本や写真も 生誕120年、茨城・大洗で企画展 

茨城新聞
2025年11月16日

昭和初期のベストセラー小説「侍ニッポン」で知られる作家、群司次郎正(じろまさ)(1905~73年)の生誕120年に合わせた企画展「昭和モダンを駆け抜けた作家 映画『侍ニッポン』の群司次郎正」が、茨城県大洗町磯浜町の幕末と明治の博物館で開かれている。直筆原稿や新聞記事、写真、小説が映画化された際のポスターなど98点の資料を通じ、大衆小説を多く手がけた群司の人生をひもとく。同展は12月9日まで。

群司次郎正(本名・郡司次郎)は群馬県伊勢崎市出身。旧制水戸中(現県立水戸一高)を卒業後、俳優を志し東京の映画俳優学校や劇団に入ったが、小説家に転身。30~31年に発表した小説「侍ニッポン」など「ニッポン四部作」で一躍流行作家になった。その後、取材・執筆のために満州(現中国東北部)や米国ロサンゼルスなどを渡り歩き、結婚と子どもの誕生を機に県内に移住。人生の半分以上を大洗で過ごした。

展示資料は、三男で同町文化財保護審議会長の郡司丈児さん(70)の所蔵品が中心。未発表も含む直筆原稿、小説の刊行本をはじめ、戦時中に陸軍報道班員として徴用された際の写真や復員後の生活を記した日誌などが並ぶ。

幕末の「桜田門外の変」を題材とした小説「侍ニッポン」は、戦前戦後で計5回映画化されたほか、テレビやラジオ、歌舞伎などさまざま媒体で展開されたメディアミックスの先駆け的作品。会場では、写本や映画のポスターやチラシ、脚本を展示している。

同館学芸員の安藤禎さん(53)は「こういう作家がいたと知ってもらい、作品にも興味を持って触れてもらえたら」と話した。

同展は午前9時~午後5時(入館は同4時半まで)。水曜休館。