アートと自然融合の空間 観光誘客へ日帰り入浴可 北茨城・五浦幽谷隠田跡温泉

アート集団チームラボの常設展に囲まれた茨城県北茨城市大津町の温泉・グランピング施設「五浦幽谷(ゆうこく)隠田跡(おんでんあと)温泉」が人気を集めている。6月からはより多くの人にアートと自然が融合した非日常空間を体感してもらうため、サービスを拡充。棚田跡にランプを浮かべた作品と一体化した温泉の日帰り入浴を可能とし、宿泊者以外の観光誘客につなげる。
常設展「幽谷隠田跡」は奥深い森と棚田跡を活用した約1キロのコースを歩き、夜の森に広がる光のアートが楽しめる。施設は2024年9月、宿泊需要に応えつつ、同ロケーションや作品をより満喫してもらおうと、展示とともに開業した。

ライトアップされた周囲の木々や棚田跡に浮かぶランプの明かりが眺められる外湯(創輝提供)
敷地内には高級感がある20張りのテントやチームラボが設計した2棟のコテージがある。コテージの2階には3面ガラス張りのアートがあり、万華鏡に迷い込んだかのような体験を独り占めできる。
源泉かけ流しの内湯と外湯も完備。泉質はナトリウム・カルシウム塩化物泉で、冷え性や皮膚乾燥症の軽減、切り傷の鎮静効果などがあるという。
内湯は黒を基調とした洗練されたデザイン。外湯からはカラフルにライトアップされた周囲の木々や棚田跡に浮かぶランプの明かりが眺められ、幻想的な空間を楽しめる。加えて、外湯はスマートフォンを持ち込め、写真映えする一枚を撮影できるのも好評という。
運営する創輝(同市)によると、施設の独自性から首都圏のほか、アジア圏からの利用者も多いという。一方で、温泉は宿泊者限定。近隣の他県や県内在住者を中心に日帰りでの利用を要望する声が多く寄せられていた。
このため、大勢の人に癒やしと非日常を届けようと、6月1日から有料で一般開放を開始。新たに昼の部も設け、開放的で、静寂に包まれた自然の中での入浴を味わえるようにした。
同社の広報担当、鈴木星空(せいら)さんは「アート、自然、温泉が融合した施設は他にはない。たくさんの人に足を運んでもらい、地域の活性化につなげ、北茨城を盛り上げたい」と話した。
日帰り温泉(午前10時半~午後2時半)は入浴のみ大人1200円、子ども500円。
夜の温泉と観賞のチケットは大人4000円、子ども1300円から。観賞のみは大人2200円、子ども800円から。予約はホームページで日付と人数、時間帯を指定すると料金が算出される。現地でのチケット購入も可能。