「東海道」浮世絵で見比べ 広重と三代歌川豊国 大洗で2連作110枚一堂に 10月1日まで 茨城

茨城新聞
2024年9月25日

時代を超えて旅の楽しさを伝える浮世絵を集めた特別展「広重が描いた東海道五十三次」が、茨城県大洗町磯浜町の幕末と明治の博物館で開かれている。歌川広重(1797~1858年)の「東海道五十三次」と、広重と三代歌川豊国(1786~1864年)の合作「双筆五十三次」が展示され、江戸時代の主要街道「東海道」の宿場53カ所を両作品で比較しながら鑑賞できる。担当者は「同じ宿場を描きながらも2作品で異なる表現を見比べて」と話している。同展は10月1日まで。

同展は同町を含む4自治体とザ・ヒロサワ・シティ(同県筑西市)が結んだ茨城アートライン協定の一環で、展示品は全て廣澤美術館(同市)の所蔵。いずれの浮世絵も1組55枚で、会場には計110枚が並ぶ。

広重の描いた浮世絵「東海道五十三次」は当時の旅行ブームの一翼を担い、多くのシリーズが出た。「双筆五十三次」は、三代豊国が人物画を、広重が背景のこまに描かれた風景を手がけている。

歌川広重と三代目歌川豊国の合作「双筆五十三次」の箱根(廣澤美術館蔵)

同じ宿が題材でも、景色の切り口や画面に盛り込む要素が異なる。「箱根」の場合、広重の作品では難所の峠がより険しく描かれ、そこを越える旅人の苦労を表している。合作では橋や山などの風景を背に、箱根ゆかりの歌舞伎の一場面を想起させる男女の全身像が描かれている。

東海道は幕府が整えた五街道の一つ。江戸-京都間の道のりに宿場53カ所を設け、参勤交代や寺社参詣などのために利用された。