国内外で活躍、ソプラノ歌手「能子」紹介 写真や遺品、出身地の北茨城で特別展

茨城県北茨城市出身のソプラノ歌手、ベルトラメリ・能子(旧姓鐵(てつ)、1903~73年)を紹介する特別展が、同市磯原町磯原の市歴史民俗資料館で開かれている。能子の写真や独唱会のパンフレット、着物など計34点を初展示。会場では本人の歌曲を流し、国内外で活躍した声楽家にスポットを当てる。同展は12月10日まで。
能子の出生地は同市の大津町か平潟町とされる。東京音楽学校で声楽の基礎を学び、1922年からイタリアに長期留学した。生涯で2度結婚しており、1度目は現地男性と結婚してベルトラメリ姓を名乗った。夫が死去した後、31年に帰国してからはソプラノ歌手として各地から招かれ独唱会などを開催した。32年に再びイタリアに渡り、35年に帰国。戦後は神奈川県鎌倉市に住み、後進の指導育成に当たった。
企画展は県外在住の能子の孫からの申し出により昨年夏に寄贈された写真や遺品を展示。東京で開いた帰国後初の独唱会のパンフレットと、その時の歌声を「質の柔らかい澄明な声の持主」と論評した新聞記事を並べた。
着物やドレス姿の能子や、全国各地で行った独唱会、公演での記念写真など当時の様子を伝える写真18点を掲示した。このほか能子直筆の履歴書や使っていた蓄音機などゆかりの品々を公開する。会場では本人が歌っている音源17曲を流している。
特別展の担当者の一人、沼田華苗主幹(41)は「能子は歌が好きで、イタリアまで行く強い意志を持った人だと感じる。市内外の人に活躍を知ってほしい」と話した。
午前9時~午後4時半(入館は同4時まで)。月曜休館。入館料は一般320円、学生100円、市外65歳以上200円。市内65歳以上、中学生以下などは入館無料。