かやぶき屋根修復費募る 茨城・笠間 春風萬里荘 日動美術財団「後世へ」CF活用

北大路魯山人(ろさんじん)(1883~1959年)の旧居「春風萬里荘(しゅんぷうばんりそう)」(茨城県笠間市下市毛)のかやぶき屋根を修復しようと、施設を管理・運営する日動美術財団(同市)がクラウドファンディング(CF)で寄付を募っている。CF活用は2019年の庭園改修に続き2回目目。同財団は「建物を現状のまま後世に残すことは大切な使命。だが、コロナ禍による入場料収入が減少し、修復には巨額の資金が必要となるため、独自に費用を賄うことが困難になっている」と説明し、多くの支援を呼びかけている。
春風萬里荘は、もともとは江戸時代初期の豪農の家で、神奈川県厚木市近郊にあった。昭和初めに、陶芸家、書家、美食家などとして知られる魯山人が母屋にと北鎌倉に移築。それを魯山人没後の1965年、笠間日動美術館の創始者、故長谷川仁氏が「芸術の村」のシンボルにと現在地に移築し、魯山人が好んだ李白の漢詩の言葉「春風萬里」から名付けた。日本遺産(笠間市と栃木県益子町共同申請)の構成文化財にも位置付けられている。
趣あるかやぶき屋根が特徴の一つで、屋根の総面積は530平方メートルに及ぶ。これまで定期的に修復され、直近では2013年7月に南側面の一部が修復された。北側面は一部が12年3月に修復されたが、11年以上が経過して、かやの撥水(はっすい)性が低下しているほか、草やコケが目立つようになっている。
このため、修復事業で北側面のふき替えを最優先とし、費用の1千万円をCFの第1目標に据えた。さらに第2目標(南北面ふき替え)2千万円、第3目標(東西南北面ふき替え)3千万円としている。期間は12月20日午後11時まで。
同財団によると、寄付者(団体)には税制優遇などを受けることができ、10万円以上の寄付で希望者(団体)には銘板に名前が掲載される。
問い合わせは笠間日動美術館(電)0296(72)2160。CFのURLは、次の通り。https://readyfor.jp/projects/shunpubanriso