多様な視点、求めた作風 「女性」主題の所蔵品展 茨城・筑西のしもだて美術館 市ゆかり作家ら紹介

茨城県筑西市丙のしもだて美術館が所蔵する作品の中から「女性」を主題にした展覧会「しもだて美術館所蔵の『彼女』たち」が、同館で開かれている。同市ゆかりの作家らが多様な視点で描いた女性像や、女性作家が追い求めた独自の作風が印象的な絵画、版画など37点が並ぶ。12月17日まで。
同展は「描かれた『彼女』たち」と「自らが表現者となった『彼女』たち」の2章で構成される。
同市出身の作家のうち、版画家の飯野農夫也(1913~2006年)の「麦刈り群像」は、かすりを着た女性たちが筑波山を望む畑で麦を刈り取る風景を表現した。乳飲み子を抱える母親の姿もあり、同館学芸員の木植繁さん(56)は「かつての農村における女性の日常を尊敬のまなざしで描いている」と指摘する。
同市に長く滞在した日本画家、岩淵芳華(1901~56年)の「春ノ海」は、砂浜にたたずむ女性たちを豊かな色彩で描いている。洋画家の小早川篤四郎(1893~1959年)は、黒いびょうぶを背景に白いドレスの女性を描いた「黒屏風(びょうぶ)」が見どころだ。
女性作家では、文化勲章受章者で皮革工芸家の大久保婦久子(1919~2000年)らの力作を展示する。大久保は皮革造形美術の第一人者と呼ばれ、1969年には領域の異なる女性作家9人による総合美術展「潮(うしお)」にも参加した。
最終日は午前10時から金工作家の盛澄子氏によるワークショップが開かれる。問い合わせは同館(電)0296(23)1601。