雨情の詩作、原点紹介 茨城・北茨城で企画展 手紙や掛け軸25点

茨城新聞
2023年5月8日

茨城県北茨城市出身の童謡詩人、野口雨情(1882~1945年)の詩作の原点を紹介する企画展「野口雨情と故郷磯原-渡辺家資料を中心に-」が、同市磯原町磯原の市歴史民俗資料館で開かれている。幼なじみに宛てた手紙や直筆の掛け軸、写真など計25点を展示。友人との交流を含め、作品に影響を与えた故郷での生活をひもとく。6月11日まで。

雨情は現在の同市磯原町磯原に生まれた。同展は、雨情生家に近い旅館「としまや月浜の湯」の先祖に当たる渡辺家の資料を中心に展示。雨情と幼なじみで、渡辺家の源四郎と年之介兄弟は共に遊び学んだ友人で、両家は数代前から関わりがあった。雨情より2歳年上の源四郎は22歳で亡くなったが文学的才能に優れ、雨情に影響を与えた。同い年の年之介は、地元磯原で家督相続するも借金返済に苦労した雨情を助けた。

展示では、渡辺兄弟に宛てた6点の手紙を並べた。雨情が17歳から晩年までに送った感謝の気持ちが書かれた年賀状や、49歳の頃に年之介に寄せた、磯原温泉の噴出を「鉱泉噴出の御報、これ全く天の賜物なり」などと祝う手紙も公開している。

磯原海岸を連想させる雨情の詩の「天妃山」や「二つ島」も、戦前の風景写真と一緒に紹介。雨情が幼い頃から歩いた松並木の風景が民謡「磯原節」で表現されていると解説し、一節を書いた直筆の掛け軸も並ぶ。

企画展の担当者の一人、川崎達雄さん(64)は「雨情は郷里を思う気持ちで渡辺家に手紙を送っていたのでは。新たな発見もあると思うので、ぜひ見てほしい」と話した。

午前9時~午後4時半(入館は同4時まで)。月曜休館。入館料は一般320円、学生100円、市外65歳以上200円。