陶芸に焦点、歴史紹介 笠間市と益子町 観光PRへ無料冊子

茨城新聞
2016年5月29日

関東の代表的な焼き物産地の茨城県笠間市と栃木県益子町を陶芸の視点でPRする無料冊子「かさましこ」が完成し、5月から配布が始まった。両市町の観光協会などで構成する「かさましこ観光協議会」の新たな取り組みで、近接した両エリアを回遊する観光客を増やす狙いだ。

冊子は変形A4判、12ページフルカラーで1万5千部発行。配布対象は陶芸にある程度の関心がある人に絞り、窯元やギャラリー、両市町と東京を結ぶ高速バス「関東やきものライナー」の車内などに設置している。

「これまでパンフレットなどであまり触れられていない」(笠間観光協会)という両焼き物の歴史を中心に取り上げ、興味や好感を促す内容にまとめた。

笠間に関しては、江戸中期、食糧不足にあえぐ村に農業以外の産業を興そうと窯を開いた“笠間焼の祖”の久野半右衛門道延の功績や、その流れをくむ久野陶園を紹介し、「(道延が築窯した)約80年後、笠間焼に学んだ青年が益子焼を誕生させました」と両産地のつながりも説明した。

両産地の人気作陶家2人の対談コーナーも設け、会話を通して笠間や益子の魅力を伝えている。このほか、県陶芸美術館や笠間芸術の森公園などの観光スポットも掲載した。

同協議会は笠間と益子が連携して観光客誘致を図る組織で、関東やきものライナーの運行開始に伴い2013年4月に発足し、街頭キャンペーンなど活動を展開してきた。

笠間観光協会は「益子を訪れた方が冊子を見て、笠間にも行きたいと思っていただけたらうれしい」と期待を寄せている。

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