御前山と那珂川 自然生かし観光振興

上毛新聞
茨城新聞
2016年4月25日

関東の嵐山とも呼ばれる御前山や雄大な那珂川が市町境に位置する常陸大宮市と城里町は、この共有の環境を観光地として確立し、誘客促進を図る協議会を5月中にも設置する。地元の観光関連の事業者らに参加を要請し、観光ツアーなど各種企画に取り組み、観光地づくりの核として活動する法人「DMO」の設立も目指す。

国の2015年度補正予算の地方創生加速化交付金対象事業となり、両市町合わせて約2450万円が事業費として交付される。

御前山は那珂川大橋と織り成す風景が京都の嵐山に似た名所。水戸藩に手厚く保護され経緯もあり、豊かな自然をたたえ、樹齢300年以上のマツやスギが現存する。脇を流れる那珂川はサケが遡上(そじょう)する清流で、アユ釣りなどでも親しまれてきた。

また、このエリアには神社仏閣、キャンプ場、温泉、道の駅などの施設が点在し、ハイキングコース、川でのラフティング体験などのレジャーもあり、観光向きの環境がある。

しかし、両市町は「観光地としては不十分。ツアー向けに回遊性を強化するなど、工夫、活用が足りていない」との共通認識を持つ。人口減少が進む中で地域活性化も共通課題とすることから、魅力向上と誘客を図ろうと協議会設立を決めた。

組織は両市町、観光協会、観光関連事業者などで構成し、早ければ5月中に設立。2年後をめどに、観光戦略の策定や観光事業の実施など観光地づくりを主導するDMOの立ち上げも視野に入れ、知恵を出し合いながら各種企画を行う。

観光ガイドの育成、農林水産業の6次産業化推進による土産物づくりなど、観光客の受け入れ態勢を整える一方で、ハイキングや川でのラフティング体験などを組み合わせた観光ツアー、御前山トレイルランなどの観光事業を展開する。

ほかにもアピールに力を入れ、エリアに特化した観光パンフレット作成、SNS(会員制交流サイト)やホームページの設置、都内でのPRなどを予定している。

同市は「また行ってみたいといわれるような国内外に知られる場所にしたい。魅力を高めることで定住促進にもつなげたい」、同町は「両市町の相乗効果で観光地を確立し、地域振興に役立てたい」と意欲を見せている。 

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