結城紬、観光に活用 予約なしで貸し出しサービス

茨城新聞
2016年4月14日

ユネスコ無形文化遺産に登録されている絹織物、本場結城紬(つむぎ)の普及を目指し、結城市が観光などでの着物の活用を進めている。市民団体と協力し、予約なしで着物の貸し出しと着付けが受けられるサービスを開始。男女が市内を着物で散策する婚活事業も模索している。市商工観光課は「軽くて温かい結城紬の良さをPRし、生産振興と地域活性化につなげたい」と話す。

本場結城紬は肌触りなど着心地の良さが特長。ただ生産は年々減っており、1962年度は約3万4千反だった検査反数は、2014年度には1379反までに落ち込んだ。

結城市は生活様式の変化による着物離れが原因とみており、普及には若者へのアピールが必要と分析。着る機会を増やして良さを実感してもらおうと、着物で街を巡るイベントなどを行ってきた。

昨年11月、市はJR結城駅北口前のテナントを、観光案内と着物の着付け所を兼ねた施設に整備。着付け支援団体「ゆうき着楽会」と連携し、毎月第3日曜に予約なしでできる着付け体験を始めた。4月からは週末、同所で結城紬の説明を受けられる。

3月21日には「紬でまちコン」と題し、着物姿でのお見合いやデートを実験。同市と古河市の男女職員10人が、市内を散策し、紬体験施設でのコースター作りを楽しんだ。

「若い人の着物姿は新鮮。親密度も上がるし、まちおこしにもつながる」と山縣美喜さん(33)。山崎洋輝さん(21)は「コースター作りは雰囲気も盛り上がる」と太鼓判を押した。

本年度は地域創生事業の一環で、結城紬の施設を巡るモニターツアーも予定。市は織物体験や紬の歴史を紹介し、参加者にアンケートを行って、ツアーの改善点を探る考えだ。

同課の田中真一課長は「将来的には観光面から結城紬の商品開発や販売促進を図りたい。交流人口が増えれば市全体の活性化にもつながる」と期待した。

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