屋根裏に明治のトラス 富岡製糸場 西置繭所 東置繭所2階など公開

上毛新聞
2016年1月23日

貴重な文化財を保存し、後世に引き継ぐ意義を理解してもらおうと、富岡市は19日、世界遺産で国宝の富岡製糸場西置繭所の保存修理を見学できる施設を報道陣に公開した=写真。22日から一般公開する。
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西置繭所北東に設けた見学施設は3階建て。ガラス張りの3階や屋外見学スペースから、5万枚の屋根瓦を取り外し、ひび割れの有無を調べ、元に戻す作業などを間近に確認できる。保存修理は2020年3月の完了予定。
瓦の取り外しは全体の3分の1が済み、3月までに終える見込みだ。市富岡製糸場保全課は「今だけ、ここだけの現場の雰囲気や音、ほこりまで体感してほしい」と話している。

富岡市は19日、非公開となっている富岡製糸場の東置繭所2階や西置繭所の保存修理工事見学施設、鉄水槽を報道陣に公開した。22日からの一般公開を前に、一足早く写真で紹介する。

東置繭所2階は、建物の西側中央部に新設した外階段を上る。室内に入ると、ライトアップされた104メートルの大空間が浮かび上がる。1872年の製糸場開設時の状態が良好に保存され、三角形を組み合わせたトラス構造の屋根裏を確認できる。昭和期に入り片倉工業が経営した時代に使われた繭袋や台車も展示している。
工事見学施設3階は高さ約10メートルで、西置繭所の屋根部分をガラス越しに見学できる。南側の瓦から解体調査しており、運が良ければ作業を間近に見られそうだ。ヘルメット(貸出料大人200円、中学生以下100円)を着けて見学する。
国重要文化財の鉄水槽)は75年の建造。円柱状(直径15メートル)で、繰糸に使う水約400トンをためた。鉄板を造船技術のリベット接合で組み立てており、明治初期の貴重な産業遺産だ。

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