わらづと納豆危機 高齢化、機械化で手狩り減

茨城新聞
2016年1月19日

 茨城県名産の「わらづと納豆」が消滅の危機にひんしている。コメ生産者の高齢化や機械化の促進により、わらの安定確保が見通せないためだ。わらづと納豆には手刈りで収穫した状態の良いわらが必要だが、飼料用米への転作促進なども影響しわらの生産者は年々減少。高齢化でやめる農家も多く「5~6年後には供給できなくなる」(わら加工業者)と危惧する。納豆メーカーは商品値上げで生産者の収益増を促すものの、生産維持の手だてとなるかは不透明だ。
 「天狗納豆」で知られる老舗の納豆メーカー・笹沼五郎商店(水戸市)では2月1日から、わらに包んだ納豆商品の価格を約20年ぶりに改定する。70グラム入りのわらづと納豆5本組みの商品は、これまでの700円(税別)から900円(同)に値上がりとなる。
 こうした動きは、ほかのメーカーも同様だ。「だるま納豆」を製造販売するだるま食品(同市)も同月から、包材にわらを使用した7種類全ての商品について、約3割ほどの値上げに踏み切る。
 値上げの背景には、包材となるわら不足の深刻化がある。納豆を包むわらは一定の長さや品質が求められるため、コメ農家が手作業で丁寧に刈り取った稲をおだ掛けし、自然乾燥させた物が必要となる。
 こうした収穫方法を行う農家は機械化により激減。これまで手刈りを続けていた農家も、高齢化による減少傾向に歯止めがかからない。特に、近年は米価の下落や飼料用米への転作促進が追い打ちをかけ、わら不足は深刻化している。
 そのため、納豆メーカーは関連商品の値上げに踏み切る。わらに支払う金額を上げ生産継続を促す。ただ、高齢化の進む生産者をつなぎ止められるかは不透明だ。
 笹沼五郎商店の笹沼寛社長は「何とか生産を続けてもらわないと、わらづと納豆がなくなってしまう」と、本県名産品の存続に警鐘を鳴らす。
 農家からわらを買い取り、納豆メーカー向けに加工販売している行方市内のわら加工業者は「この調子でいくと、5~6年後には供給が困難になる」と現状を説明。同社の取引農家は70~80代が中心で「毎年、生産をやめたいと話す農家は少なくない」と危機感を抱いている。

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