《上州真田》沼田・あけぼの座 人形芝居で「小松姫」 3月初演 劇的人生、表現へ準備

上毛新聞
2016年1月5日

沼田市指定重要民俗文化財「沼須人形芝居」を伝承するあけぼの座(金井竹徳座長、24人)は、真田氏初代沼田城主の信之の妻、小松姫を題材にした新作「小松姫物語」を作った。信之の弟、信繁(幸村)が主人公のNHK大河ドラマ「真田丸」の放送を控え、ゆかりのヒロインの劇的な人生を表現しようと、3月6日の初演に向けて準備を進めている。
大河ドラマにも登場する小松姫は、気丈ながら思いやりのある女性と伝えられる。金井座長(69)が脚本を書いた小松姫の物語を琵琶語りで披露したことはあるが、人形芝居で演じるのは初めて。脚本を書き直し、信之や小松姫の甲冑(かっちゅう)、舞台を新たに用意した。
物語は3部構成で、①関ケ原の戦いを前に真田家の存亡を懸けて、犬伏(栃木県佐野市)で信之が父の昌幸とたもとを分かつ「犬伏の別れ」②昌幸と信繁が、敵味方に分かれた信之の留守中に沼田城に立ち寄ったものの、小松姫が門前でやりを手に入城を拒んだ「大手門」③その晩、近くの寺へひそかに2人を迎え入れ、昌幸に孫と面会させた「正覚寺」―からなる。
舞台は三味線や語りに合わせて人形を操る。初演は詩吟団体も出演し、吟詠に合わせて踊りを披露する。小松姫を演じる座員歴20年以上のベテラン、田中久子さん(67)は「やりや甲冑が大きいので取り回しが難しいが、強く優しい女性像を表現できれば」と話す。
金井座長は「大河ドラマの人気に乗ってさまざまな場所で披露し、沼田真田氏の歴史を広めたい」と展望を語る。
沼須人形芝居は、江戸末期から沼田市の沼須地区に伝わる伝統芸能。一時途絶えていたが1975年に保存会が結成され復活した。2012年、同市沼須町に稽古場・劇場「伝承館 薪水書窓庵(しんすいしょそうあん)」が完成した。