《いばらき御朱印めぐり》笠間・三学山不動院 不動明王をデザイン

茨城新聞
2022年5月16日

 ■特注はんこ 版画風質感

茨城県笠間市の国道355号から路地へ入り、いくつか角を曲がると見えてくる真言宗豊山派「三学山(さんがくざん)不動院」。高台にあり、境内の奥からは市内を見渡すことができる。大日如来の化身ともいわれる「不動明王」を祭り、御朱印にも、版画のような質感の不動明王がデザインされている。

創建は室町時代の1417年。和歌山県の根来寺から運ばれた「錐鑚(すいさん)不動」を本尊とし、宥戒(ゆうかい)上人がこの地に開山した。以来代々、足利・徳川将軍家とは関係が深く、土地を寄進されるなどしてきたという。

本堂に安置されている錐鑚不動は、鮮やかな青色の姿で、怒ったような顔が目を引く。「恐ろしい顔をしているのは、邪悪なものを断ち切り、仏道に導くため」と片岡卓治住職。普段は公開されていないが、お盆の時期に開帳する。

同寺が御朱印を始めたのは、片岡さんの父親である先代住職の時。「参拝客がせっかく足を運んでくれたのに、御朱印をやっていないというのは申し訳ない」と頒布を決めた。

2種類ある御朱印は、2021年12月に一新し、現在のデザインになった。一つは、黒地に白抜きで「不動明王」の文字が大きく記されており、もう一つは、不動明王が向かって左手に降魔の利剣(りけん)、右手に羂索(けんさく)を握りしめて座る姿が描かれている。いずれも特注のはんこを使い、版画風の質感を出している。

珍しい版画風の御朱印。特注のはんこを使って表現される

 

特注のはんこは、片岡住職が「オリジナリティーがあり、不動院らしいものを」と、デザイナーに依頼して作った。文字の部分は、県内の書家がしたためたという。

御朱印は書き置きせず、参拝者の申し出を受けてから、片岡住職が手がける。法事などで不在の場合もあるため、「御朱印を希望する方は、前もってご連絡をいただければありがたい」と話す。

御朱印の位置付けについて、片岡住職は「現代はインターネットやスマートフォンの時代で、何でも簡単に手に入れることができるが、御朱印は寺などを直接訪れないと受け取ることができない。それだけ価値があるもの」と強調する。その上で、「(御朱印は)ご本尊の分身でもある。家に帰ってからも大事にしてもらいたい」と語り、不動明王の御利益として、「コロナ禍から身を守っていただけると思ってもらえれば」とほほ笑んだ。

■メモ
アクセス…常磐道笠間ICから車で約11分。一般道は、笠間市内の国道355号を南進、仲町十字路を右折し、路地へ。
住所…笠間市下郷3264
電話…0299(45)2574
御朱印…一つ300円。両方は500円。受け付けは午前9時~午後5時。不在の場合があるため、御朱印希望の場合は、事前の電話連絡が望ましい。