コロナ禍で存続危機 茨城・石岡のギター文化館 ネットで資金募る

茨城新聞
2022年5月9日

 ■今年で開館30周年

優れた音響のホールや名器の収蔵で知られ、今年で開館30周年を迎える茨城県石岡市柴間の「ギター文化館」が、新型コロナウイルス禍で存続の危機に直面している。運営資金を賄うため、クラウドファンディング(CF)で寄付を募っている。目標金額を700万円として5月末まで支援を求めている。

同館は1992年11月、東京労音(東京)の施設として開館。フラメンコギタリスト、マヌエル・カーノ(1925~90年)から託されたアントニオ・デ・トーレス製のギターなど18本の「カーノ・コレクション」などを収蔵する。ギターの響きを味わえるよう設計されたコンサートホールも同館の自慢で、これまでに多くの有名ギタリストが演奏を行い、「ギターの聖地」と呼ばれている。

同館によると、新型コロナウイルス禍で、首都圏のコンサート事業を収益源としている東京労音の経営状況が悪化。その余波を受けた同館は存続が取り沙汰される事態になった。窮状をしのぐため、年間の運営費用に寄付の返礼・手数料費用を加えた金額を目標額に設定し、CFで寄付を募って資金調達を目指すことにした。

寄付の募集はCFサイトの「CAMPFIRE(キャンプファイヤ)」で4月1日から始め、5月30日を期限とした。4月30日現在、140人超から約290万円もの支援申し込みがあった。日本を代表するギタリストの荘村清志さん、福田進一さんらも支援を呼びかけるメッセージを寄せている。

4代目に当たる館長の池田由利子さん(61)は「一度失ってしまったら再び戻すことが難しい。この施設を茨城・石岡の地に残し、維持していくために手を差し伸べてほしい」と訴える。同館がCFを実施するのは初めてで、今回の取り組みを「施設運営の在り方を見直す契機にもしたい」と話している。

問い合わせは同館(電)0299(46)2457。