《食いこ》キュイジーヌ・アイ(茨城・取手市) 気軽に味わう本格仏料理

茨城新聞
2022年4月15日

「気軽に楽しく」を店のコンセプトに掲げる茨城県取手市取手のフランス料理店「cuisine〝i〟(キュイジーヌ・アイ)」。入り口から一目で見渡せる店内にはパッチワークのテーブルクロスや、手描きの絵で彩られたメニューボードが飾られ、アットホームな雰囲気を醸し出している。

「フレンチは堅苦しいイメージを持たれがち。楽しくおいしく、おなかを満たしてもらいたい」とオーナーシェフの石川典由さん(61)。都内の老舗洋食店で腕を磨き、帝国ホテルの会員制レストランで料理長を務めた経験を持つ。

同店のランチメニューは、100%牛肉のハンバーグやロールキャベツ、かにクリームコロッケのほか、コースを含め8種類ほど。家庭料理としてもなじみのあるメニューだが、製法や食材選びには石川さんのこだわりが詰まっている。

トマトソース牛肉100%のハンバーグ

 

手がける料理は、付け合わせのパンに至るまで、全て手作り。中でも、ハンバーグのソース作りには手間を惜しまない。野菜などを煮込んだ後、網目が見えないような細かいこし器で、数時間かけてじっくりとこしていく。特にデミグラスソースは、煮込んでこす作業を何度も繰り返し、完成までに1週間から10日ほどかかるという。

「茨城はおいしいものがそろう」として、県産品を積極的に取り入れる。ランチメニューの一つ、トマトソースのハンバーグでは「味が濃くて甘い」ことから、取手市内の生産農家が育てたトマトをソースやトッピングに使用。セットのスープは季節ごとに材料を変え、取材に訪れた日は県産のサツマイモやジャガイモが使われていた。

石川さんは愛知県豊橋市出身。高校卒業後に上京し、料理の世界に飛び込んだ。いくつかの店で修業を積んだのち、2001年に独立、妻の文さん(59)の地元である取手市に店を構えた。以来、約20年にわたり、二人三脚で店を切り盛りしてきた。

同店はJR常磐線取手駅東口の目の前に並ぶビルの一角にある。来店客は県内のほか、都内に勤務していたころからの常連も少なくない。「店の味や修業時代に学んだ製法を守り続けながら、新しい味や料理も取り入れていきたい」。たゆまぬ努力が、多くの客を引きつける。

■お出かけ情報
キュイジーヌ・アイ
▼取手市取手2の3の7 取手センタービルC棟4階
▼営業時間はランチ午前11時半~午後2時、ディナー午後5時半~10時。
▼定休日は日曜、祝日
▼(電)0297(73)7705