名建築でツツジと和食 館林市の財産旧秋元別邸に光 16日から食事処オープン

上毛新聞
2022年4月8日

群馬県館林市内の貴重な歴史的建造物を活用してまちの魅力を発信しようと、地域づくりに取り組む「まち研」(三條秀子社長)は観光客でにぎわうツツジの開花時期に合わせ、16日からつつじが岡第二公園内の「旧秋元別邸」に食事スペースを開く。昨年秋に市民団体から株式会社を新たに立ち上げて第1弾となる事業で、「市の財産に光を当て、地域の魅力再発見につなげたい」と意気込んでいる。

市内では2000年、市民有志が中心市街地の活性化を目指す「まちづくりを考える研究グループ」を設立。街並みの整備や空き店舗の活用、歴史的建造物でのイベントなどをボランティアで手がけてきた。

活動の幅を広げるため、同団体の一部の会員や市商工会議所などが出資して昨年11月、株式会社まち研を立ち上げた。まちづくりに関する観光開発やコンサルティング事業を行い、収益は文化財の保全や事業の運営に充てる。

事業の第1弾は4月16日~5月5日の週末や祝日の昼限定で、旧秋元別邸を「お食事処(どころ)」とする。主屋の座敷に席を用意して開放し、1917年創業の老舗料理店「和食吉川」(同市本町)が限定和膳を提供。歴史情緒ある空間で、庭園に咲くツツジを眺めながら本格的な食事を味わってもらう。

市文化振興課などによると、旧秋元別邸は館林藩最後の藩主である秋元家とゆかりの深い木造平屋建ての邸宅。明治末期に建てられ、昭和初期に洋風の離れ座敷を移築した。和洋折衷の建築が特徴で、テレビドラマの撮影に使われたこともある。

日本遺産「里沼」の構成文化財の一つでもあり、三條社長は「市内に残る歴史的な建物には価値がある。観光利用で名所として市民に再認識してもらうきっかけにしたい」と話す。

事前予約制で1日16人まで。限定和膳は4400円(入館料込み)。今月は着物の着付け体験もある。予約や問い合わせはホームページへ。