《いばらき御朱印めぐり》現代的な絵柄や文字 茨城・ひたちなか 酒列磯前神社 端末駆使してデザイン

茨城新聞
2022年4月10日

樹齢300年を超えるタブノキなどの樹叢(じゅそう)に覆われてトンネルのような参道を進むと、酒列磯前(さかつらいそさき)神社(海後宗郷宮司)の本殿が姿を現した。主祭神は日本神話に登場する少彦名命(すくなひこなのみこと)。併せて大名持命(おおなもちのみこと)(別名オオクニヌシノミコト)も祭る。古事記や日本書紀にも登場する2神は、建国神話において協力して国造りをしたと伝わることから、同神社のように2神とも祭る神社は多いという。

平安時代に編まれた歴史書によれば創建は856(斉衡3)年、常陸国鹿島郡大洗の海岸に大名持命と少彦名命が現れ、「国を造り終えてから東の海に去ったが、いま再び民衆を救うために帰ってきた」と告げ、同神社が現在地に創建された。

少彦名命は医薬の神で、病気平癒のご利益があるほか醸造、酒の神としてもあがめられている。愛媛県松山市の道後温泉で少彦名命が体を癒やした伝説があることから、温泉の神にも列せられている。

さらには、同神社がおはらいした市内の大型ホームセンター宝くじ売り場から高額当選が相次いだことで、宝くじの当せんご利益がある神社としてテレビに取り上げられたこともある。

それもあってか、同神社の御朱印を受ける参拝者は引きも切らず、行列ができる日も。「通常のもの、月替わりのもののほか、開運逆列岩、一粒万倍日、大安、天赦日限定の御朱印もあります。そのほか寅(とら)年にちなみ毎月2~3日ある寅の日に授与する白虎は人気が高い」と説明するのは各種御朱印の企画を担当する権禰宜(ごんねぎ)の海後知世さん(23)。

酒列磯前神社の通常御朱印と限定御朱印

 

海後さんが中心となってアイデアを出し合い、タブレット端末を駆使してデザインした御朱印は、形は同種のものを踏襲しつつ、絵柄や文字デザインはいかにも現代的で若い感性が感じられてイラスト的だ。

神社をできるだけ広く知ってもらうため、インスタグラムやツイッターなどソーシャルメディアの活用も怠りない。

海後さんによると「比較的高齢女性が多いが、年齢層は幅広い」という参拝者は年間約10万人。多いのは関東近県からだが、遠くは青森や熊本から訪れた人もいた。

御朱印人気に関しては「当社を知ってもらう、神社に親しんでもらうきっかけとしては良いと思います。まずはお参りをして、御朱印、お守りを受けていただけば、ご利益があるかもしれません」と笑顔で話した。(第1土曜日掲載)

■メモ
アクセス…東水戸道路、ひたちなかICから10分。同ひたち海浜公園ICから10分。ひたちなか海浜鉄道阿字ケ浦駅から徒歩10分。
住所…茨城県ひたちなか市磯崎町4607の2
電話番号:029(265)8220
御朱印…書き置きのみ、見開き1000円、月替わり500円、通常版300円。午前8時~午後4時。