《釣り》茨城・日立沖 一つテンヤでマダイ 数釣り、外道も多数

茨城新聞
2022年2月12日

一つテンヤでマダイを狙う。小さな重りと針が一体になった「テンヤ」をラインに付け、エビを餌にする、とてもシンプルな仕掛けだ。茨城県の沖釣りは寄せ餌をまくことが禁止なので、この釣り方が一般的だ。2月初旬、日立久慈漁港のマダイ専門「大さん弘漁丸」(小泉大輔船長)にお世話になる。

久慈漁港の名物男、大さん弘漁丸の小泉大輔船長

 

 

約15年前、川釣り専門だった私が海で沖釣りを始めるきっかけとなった思い出深い船。あの時の好印象が私に沖釣りを続けさせたのかもしれない。

午前5時すぎ、まだ明けぬ港は平日だというのに釣り客でにぎわっていた。

船に乗り込む時、足元の霜に「気を付けて」と案内する小泉船長は久慈漁港の名物男。さおやリールのレンタルもあって、未経験者でも船長が分かりやすく一つテンヤのマダイ釣りを教えてくれる人気の船だ。

出港20分ほどでポイント到着。水深38メートル、遠く久慈川の河口が見える。波は静かで微風。船首から海にパラシュートを投入し、船を潮の流れに乗せて釣り開始。

魚群モニターに反応があるがアタリはポツリポツリ。何とかヒットに持ち込むも手応えは軽い。水はとても澄んでいて、かなり深い所から小さな魚が上がってくる。今日の海はタイ釣りには穏やか過ぎるようだ。

パラシュートを引き上げ、風任せで船を流す。思ったより船は良く動き、5号のテンヤで海底近くを引っ張るように流すとアタリが出始めた。アタリも取りやすく、マダイを釣り上げる女性客もいて、とてもうれしそうだ。

そうこうするうち私にもアタリが。勢いよく底に潜るファイトはマダイ独特の引き味で釣り応えがある。サイズは少し物足りないが、このチャンスにどんどん釣ってしまおう。

こんな日は数釣りを実践すれば、大ダイに巡り合える確率が高い。集中して連続7匹を釣り上げると間もなく風がやんでしまい船が流れなくなった。

魚影の濃い海底の上に船を回してもアタリはその時だけで、すぐに消沈してしまう。やがて海面がざわつき、イルカが姿を見せた。

こんな時はあまり釣れない。しかしカサゴやカレイなどを連続で上げる客もいた。そっと横目で観察。まねをしてみると私にもヒット。なんと本命のマダイだった。

メバル、カサゴ、ムシガレイ、ホウボウ、ウマヅラハギ、丸々としたサバなどお土産もたくさん。終わってみれば全員で楽しめた釣りだった。(奔流倶楽部渓夢・上谷泰久)