復活願い影絵再現 栃木・巴波川左岸 台風19号で屋形船被災 船頭ら制作、2月まで点灯

下野新聞
2021年11月24日

 【栃木】2019年の台風19号の水害で破損した屋形船の影絵が、倭(やまと)町の巴波(うずま)川左岸に再現された。屋形船は壊れたままで修理のめどが立っていないが、川岸にあった以前の景色だけでもよみがえらせようと、NPO法人蔵の街遊覧船の船頭らが、影絵のセットを制作した。市民らから好評で、「屋形船はいつ川に浮かぶのか」との声も寄せられている。

 影絵は縦約1メートル、横2メートル。同所の幸来橋南側の、水面に近い川辺に設置された。障子を模した木枠に屋根を取り付け、発光ダイオード(LED)で以前と同様、着物姿の男女の影が浮かび上がっている。午後4時半~同10時、来年2月末まで点灯する。

 屋形船は、少人数で飲食しながら蔵の街と巴波川を楽しむため、同法人が17年に造った。船頭の遊び心で船の側面に影絵が施され、日没後、乗客がいない時でも点灯していた。その幻想的な光景は、市民や観光客から人気だった。

 しかし台風19号の水害で、屋形船は転覆してそのまま流され、障子が破れ屋根は変形してしまった。費用の関係で修理が行えず、今も運航できない状態が続いている。屋形船の復活を願う市民の声を受け、同法人が影絵を飾った。

 同法人の中村明雄(なかむらあきお)船頭マネジャー(63)は「多くの人が見に来てくれており、以前と同じ光景に懐かしさを感じている人もいる。屋形船があった当時の巴波川の景色を忘れないでほしい。屋形船もいつか復活させたい」と話している。

地図を開く 近くのニュース