制作風景などを動画で全員紹介 QRコードを読み取ると… 那珂川・もうひとつの美術館

下野新聞
2021年11月13日

 那珂川町のもうひとつの美術館(梶原紀子(かじはらのりこ)館長)は、現在開催中の企画展「ありのままがあるところ しょうぶ学園」で、初めてデジタル化に取り組んだ。作品に付けられたQRコードをスマートフォンで読み込むと、制作風景などが動画で紹介される。梶原館長は「若い人を中心に熱心に見てくれる。滞在時間も通常より長いようだ」と手応えを感じている。

 障害者アートの美術館として全国でも先駆けとなった同館は開館20周年記念として、鹿児島市にある知的障害者更生施設「しょうぶ学園」の創作活動「工房しょうぶ」の縫い、絵画、木工作品など、膨大なエネルギーを費やして誕生した約220点を紹介している。

 意図や思いなどを言語化するのは難しい障害者アートだが、梶原館長は「制作者の素顔や作品が生まれる場所などを見てもらえれば」と映像化を茂木町の映像カメラマン板谷秀彰(いたやひであき)さんに相談。快諾した板谷さんは同学園に1週間滞在し、日々の生活の中から創作が生まれ、作品となる様子を撮影。同学園が持つ物故者の映像の再編集を含め、出品者28人全員分をそれぞれ2分前後にまとめた。

 数々のドキュメンタリー作品を手掛けてきた板谷さんは、シンプルな機材でストレートに伝えることを意識したといい、「ひたすら糸を積み上げていく姿など、展示の中に映像を取り込むことで、作品への理解がより深まるのではないか」と意義を話した。

 23日まで。(問)同館0287・92・8088。

地図を開く 近くのニュース