《食いこ》伸び伸び育て、臭みなし 鉾田ハム(茨城県鉾田市) かむほどにうま味

茨城新聞
2021年9月24日

約300坪の広々とした放牧場で、寝そべったり歩き回ったりする豚たち。茨城県鉾田市にある方波見牧場では約100頭の豚を飼育し、「鉾田ハム」の名前で加工販売する。

同牧場の代表、方波見真人さん(28)は「少数で放牧したり、小屋を兄弟ごとに区切って飼育する“兄弟飼い”をしたりすることで、豚にストレスがかからず、肉の臭みがなくなった」と明かす。豚は密飼いなどでストレスがかかると、ほかの豚の尻尾をかんでしまうため、短く切るのが一般的だが、同牧場の豚の尻尾は長いまま。伸び伸び育てられた証しだという。

「おいしいハムを作るには、おいしい豚肉が必要不可欠」と方波見さん。メインで飼育するブランド豚は、米国原産のデュロック種。特に肉質の良い純血種に限定している。味わいは「脂があっさりしていて、くどくない。程よい弾力でかめばかむほどうま味が感じられる」。父の代から飼育している同種の豚を食べて育った方波見さんは「このおいしさをもっと世間に伝えたい」と品種にこだわった。

豚にストレスを与えないことに注力し、飼育方法に加えて接し方にも気を配る。移動時はたたいたりせかしたりせず、「豚自身が動くまで待つ」という徹底ぶり。餌には、豚の健康状態を保ち、肉の臭いを抑える麹(こうじ)を与えて、理想とする「おいしい豚」を作り上げた。

丹精込めて育てたこだわりの豚は、ハムやベーコンにしても最適。特にロースハムは、赤身に細かいサシが入っているため「しっとりしている」。フライパンや魚焼きグリルを使い、弱火から中火でじっくりと焼いて塩を振って食べるのがお勧めだという。

ロースハムやボンレスハムなどの商品

 

ハム作りは受注生産が基本。塩や砂糖などの調味液に漬け込んで熟成させた豚肉の塊を、一つ一つ手作業で布巻きした後、乾燥、スモーク、ボイルする。「化学調味料や香辛料を使わず、素材の味を生かした」と方波見さん。商品はほかに、ボンレスハムや炭火焼きバラベーコン、刻みベーコンがあり、鉾田ハムのオンラインショップなどで注文を受け付けている。

方波見さんは高校卒業後、神奈川や鹿児島県内で養豚を学んだ後、兵庫のハムメーカーでハム作りを習得。約4年間修業し、家業を継いだ。「豚は牛の次というイメージを持たれがち。牛肉にも負けない豚肉にしたい」と抱負を語った。

お出かけ情報
鉾田ハム
▼(電)0291(39)8855(受付時間は平日のみで、正午~午後6時)
▼ホームページはhttps://hokotaham.shop
▼ツイッターのアカウント「鉾田ハム@放牧純デュロック豚100%使用(@hokotaham)」
※受注生産のため、注文受付から発送まで約4日かかります。