「好みの味」から出発を  初心者向けの楽しみ方

下野新聞
2021年8月26日

 近年人気が高まっているクラフトビール。「興味はあるけど、どこで飲めるの?」「どのビアスタイル(ビールの種類)から入るのがお薦め?」などと悩む人もいるだろう。そんな初心者の疑問に対し、ビアパブの店主や愛好家からアドバイスをもらった。

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 国内でも100種類以上あるビアスタイルから、好みを見つけるのはなかなか大変。まずはビアパブなどで好みの味わいを店員に伝え、提供してもらうのがいいだろう。

 宇都宮市池上町のビアパブ「BLUE MAGIC」の店主中尾真仁(なかおまさひと)さん(33)によると、すっきりして苦味のあるものなら、大手メーカーも参考にしている「ピルスナー」がお薦め。飲み口が軽い「エール」も初心者向けだ。

 中尾さんは「ビールの苦味が苦手な人は、フルーツを使ったクラフトビールもあります」と話す。

 同店常連客の大沼宙系(おおぬまひろつぐ)さん(42)は「味わいが濃いものが多いので、その日の料理と組み合わせて選ぶと楽しい」と提案する。

 県内外のブルワリーにも足を運ぶという大沼さんは「クラフトビールは造り手との距離が近いのが良い」と魅力を語った。

 一方、新型コロナウイルスの影響で、飲食店が休業していたり、外で飲むことに抵抗を感じたりする人もいるだろう。そんな時には、家での楽しみ方にこだわりたい。

 コロナ禍で注目を集めているのが、量り売りだ。一部のブルワリー(ビール醸造所)やビアバーでは、炭酸飲料に対応した水筒「グラウラー」やペットボトルなどを持ち込めば、テークアウトが可能。同店でもこの1年で需要が高まり、常連客の間で定着しているという。

 クラフトビールは百貨店やスーパーなどでも、目にする機会が増えている。「おしゃれなラベルが多いですよね」と中尾さん。味わいだけにこだわらず、好きなラベルのデザインから新たなお気に入りを見つけるのも面白い。

 中尾さんらによると、このほかに注目したいのがグラス。「生ビール」というとキンキンに冷えたジョッキに注ぐのを思い浮かべる人も多い。一方でクラフトビールのグラスは、1リットルも入る靴の形をしたものや、フラスコのようなデザインなど、バリエーションに富んでいるのが特徴だ。

 例えば、香りがいいビアスタイルにはチューリップのような形のグラスで香りをこもらせるのがいい。のどごしがすっきりするタイプには、口に入る量が多くなるストレートな形状がマッチする。味や香り、色などを参考にグラスを選ぶのがポイントだ。また、同じビールでも、グラスを替えるとイメージが変わることもあるという。

 中尾さんは「一つに決めるのではなく、気になるものをいくつか飲んで好みのビールを見つけてほしい」と呼び掛けている。

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