拓版画 集大成の40点 宇都宮の坂本富男さん 古希記念、日光で個展 個性豊か「力感じて」

下野新聞
2021年8月21日

 【日光】日本拓版画会会長で、宇都宮市在住の拓版画家坂本富男(さかもととみお)さん(70)の個展が、本町のギャラリー「古民家日光」で開かれている。40年近く拓版画に取り組む坂本さんの古希を記念した個展で、拓版画家としての集大成を多くの人に見てもらおうと企画した。会場には日光をテーマにした代表作など約40点が並ぶ。29日まで。

 拓版画は、彫った版木に和紙を載せてプレスし、紙の凸部分に墨などをタンポで付けて仕上げる。凸部分の色合いのほか、凹部分に残った彫り跡でもさまざまな表現ができるのが特徴。

 坂本さんは、拓版画の第一人者で益子町出身の版画家故笹島喜平(ささじまきへい)氏から技法を継承し、県内外で個展を開いている。市内でも25年以上前から個展を開催。古希を記念した今回は、明治時代に造られたという木造の古民家をリノベーションした同ギャラリーを初めて会場に選んだ。

 日光開山1250年記念として開山の祖勝道上人(しょうどうしょうにん)の冒険を表現した「日光幻想譚(たん)」や景勝地「憾満ケ淵(かんまんがふち)」、名瀑(ばく)「霧降の滝」など日光を題材とした作品が並ぶ。夜の森に住む妖精を表現したという50号の「妖精花」など個性豊かな作品も飾られている。

 来場した埼玉県草加市原町1丁目、会社役員鵜野澤六朗(うのさわろくろう)さん(72)は「立体感があり見応えがある。個性がよく表現されていて素晴らしい」と見入っていた。

 坂本さんは個展について「拓版画の力強さを感じてもらいたい」と話し、「皆さんの応援があってここまで続けてこられた。生涯現役で活動していきたい」と意気込んでいる。午前11時~午後4時。月、火曜休廊。入場無料。(問)坂本さん080・8851・4500。

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