童画や絵本の原画、一堂に いわさきちひろ展 茨城県近代美術館 力強い生涯も紹介

茨城新聞
2021年8月2日

水戸市千波町の茨城県近代美術館で企画展「いわさきちひろ展」が開かれている。生涯にわたって子どもを描き続け、現在でも絵本やカレンダーなどで広く親しまれる画家、いわさきちひろ(1918~74年)の作品世界を、約120点の原画や資料で紹介。戦後の困難な時代を、画家として力強く歩んだ生涯にも触れる。

童画家として世に出た、ちひろは、絵本画家として才能を開花させ、絵本の世界に新境地をもたらした。同展では、ちひろが生きた時代に目を向け、生涯と作品を資料を交えて詳しく紹介する。

展示されるのは、季節をモチーフにした代表作のほか、童画や絵本の原画など121点。ちひろが文と絵の両方を手掛けた絵本「あめのひのおるすばん」から「カーテンにかくれる少女」など、清らかな色合いの水彩や鉛筆、パステル画などが並ぶ。初期の油彩画や素描から晩年までの作品を網羅し、その巧みな技法にも触れている。

カーテンにかくれる少女(1968年、同 『あめのひのおるすばん』至光社より)

 

このほか、赤ちゃんの月齢まで描き分けるといわれた優しいまなざしや、戦争で犠牲になる子どもたちへの思いなど、戦中から戦後をちひろの生涯と重ね合わせて解説する。同館首席学芸員の吉田衣里さんは「作品を楽しむとともに、絵本画家、妻、母としてたくましく生きた、ちひろの生涯にも触れてほしい」と話している。会期は8月29日まで。

午前9時30分から午後5時。月曜休館(8月9日は開館、翌10日が休館)。料金は一般1100円、満70歳以上550円、高大生870円、小中生490円。問い合わせは同美術館(電)029(243)5111

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