古典的舞台で青春輝く 【とちぎロケ地巡り】足利織姫神社(足利)映画「ちはやふる-上の句-」

下野新聞
2021年7月19日

 激しい雷雨がやんだ夜の参道。ぬれた鳥居や石段、欄干を灯籠の明かりが照らし、雲の切れ間からは満月がのぞく。厳かで神秘的な雰囲気が日本の古典的な世界を感じさせた。

 足利市中心部の織姫(おりひめ)山(機神(はたがみ)山)中腹にある足利織姫神社。麓の鳥居をくぐると、鮮やかな色彩の社殿まで229段の石段が続く。

 この石段が登場するのが、百人一首を使った競技かるたに情熱を燃やす高校生の姿を描いた映画「ちはやふる-上の句-」(2016年公開)。末次由紀(すえつぐゆき)さんの人気漫画を実写化した第1作で、俳優広瀬(ひろせ)すずさんが主人公の綾瀬千早(あやせちはや)役を熱演している。

 15年5~6月に市内でロケが行われ、千早らかるた部員が石段を駆け上って体を鍛えるシーンに使われた。当時、同市映像のまち推進課の職員だった関口智樹(せきぐちともき)さん(39)は「映画でも神社の階段という設定。日本の伝統文化を感じる場所ということで選ばれたのでは」と振り返る。撮影は旧足利西高や市民武道館などでも行われた。

 機織りの男女の神を祭り、縁結びや産業振興の御利益で知られる同神社。映画公開前から、子どもから大人までが石段を上り下りし、トレーニングする姿はよく見られる光景だ。

 約270の個人・団体でつくる同神社奉賛会の熊谷正(くまがいただし)事務局長(67)は「いつも会員らが交代で境内を清掃してくれる。映画を見て訪れる人もいるので、これからも地域で親しまれる場所であり続けたい」と力を込めた。

 【メモ】足利織姫神社(足利市西宮町)の社殿は1937年に完成し国登録有形文化財。「恋人の聖地」や「日本夜景遺産」などにも認定されており、2020年度の参拝者数は約48万8千人に上る。(問)同神社奉賛会0284・22・0313。

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