《食いこ》こだわり牛乳で濃厚な味 ひたちおおたチーズ工房(茨城県常陸太田市) モッツァレラなど5種類

茨城新聞
2021年7月23日

真っ白で丸い形に、つるっとした表面はまるでつきたての餅のよう。茨城県常陸太田市の「ひたちおおたチーズ工房」=里美ふるさと振興公社運営=で作られたモッツァレラチーズは、滑らかで濃厚な味わい。製造責任者の平賀優子さん(47)は「ここのチーズはどれもしっかりとしたミルク感があるが、牛乳のおいしさをダイレクトに味わえるのはモッツァレラ」と一押しする。

工房のチーズは全て、常陸太田市里美地区の酪農家が育てた牛の乳のみを使う。「脂肪分が豊富なので、甘くてコクがある」と平賀さん。暑さに弱い牛にとって、夏場でも涼しい同地区の環境はストレスがかかりにくく、おいしい牛乳の生産につながっている。

平賀さんが「単純な工程だからこそ難しい」と語るチーズ作りは、経験することでしか得られない技術が多い。材料の攪拌(かくはん)時間やかき混ぜる力加減といったノウハウは、何度も製造を繰り返す中で身に付けていった。特に牛乳は、脂肪分などが毎日微妙に変化するため、「経験でカバーしている」という。ほかの工房への見学や、製造者らとの情報交換で「ヒントがもらえた」と振り返る。

取材に訪れた日はモッツァレラを製造していた。殺菌した牛乳に乳酸菌と「レンネット」と呼ばれる凝固剤を加え、「カード」を作って熱い湯に入れて練り、手でちぎる-。一見すると簡単そうな作業もあるが、「見るのとやるのとは全然違う」と工房の事務担当者。雑味のない味わいはもちろん、手作業で均一にちぎられたモッツァレラの形はまさに職人技だ。

 

 

工房で作られた5種類のチーズ

工房ではほかに、フロマージュブランやストリング、カチョカヴァッロ、7月に新発売したセミハードチーズの「さとやま」を製造する。「いろんなチーズ作りに挑戦していきたい」と平賀さん。後進の指導にも取り組み、チーズ作りに励む大学生らを受け入れてアドバイスすることもあるという。「今後、若い人たちが世界に出たとき、日本にもおいしいチーズがあるよ、ということを広めてもらいたい」

お出かけ情報
ひたちおおたチーズ工房
▼住所は常陸太田市大中町1702の2
▼販売時間は午前9時~午後4時。
▼定休は土・日曜日、祝日。
▼道の駅ひたちおおた(常陸太田市下河合町)でも販売。
▼(電)0294(82)2329
▼ホームページはhttps://cheese-hitachiota.com/

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