大子の“美”、絵や文字で 茨城県部長の根崎さん初個展 大子・ドレメ美術館 

茨城新聞
2021年7月12日

茨城県大子町の景観や歴史をテーマにした県農林水産部長、根崎良文さん(59)の初の個展「保内郷を描く」が、同町大子のドレメ美術館で開かれている。県北振興局長を務めた2020年に描いたデッサンに、一言を添えた作品が中心。計30点が来場者を出迎えている。根崎さんは「大子町民ではないからこそ感じた美しさを絵と文字で伝え、紹介できるきっかけになればうれしい」と話した。

根崎さんは行方市出身。小学2年生の時に初めて常磐線に乗り、電車を水彩画で描いたのをきっかけに絵の制作に魅了された。

1986年に入庁してからも絵を描き続け、2020年の県北振興局長就任後は県北各地に出向き、景観をスケッチしていた。これまでに100点以上の作品を制作し、今年の県民手帳の挿絵にもなっている。特に、幼少期から家族で訪れるなど思い出深い大子町に関する作品が多くなったという。

個展の開催は、根崎さんと県庁に同期入庁した赤津康明副町長が「大子の作品をまとまって展示できる場をつくりたい」と提案。同町まちづくり課と元地域おこし協力隊アート担当の菊池彩稀さんが中心となり準備に当たり、同美術館に開催を打診。佐藤清子館長が作品を見て「絵を描くことと大子への愛がひしひしと伝わった」と開催を快諾した。

作品は「百段階段」や「常陸大子駅」などの景観から、「アユ」や「アップルパイ」などの名物、県指定無形民俗文化財の獅子舞「浅川のささら」のような文化を描いたものもある。ボールペンと色鉛筆で描かれた絵とともに、絵の対象にまつわる歴史や伝統、逸話を短くまとめた一言が筆ペンで記されている。額縁は菊池さんが絵と会場の雰囲気に合ったものを選んだ。

根崎さんは「大子町は奥深く、久しい歴史があり、心を慈しむ場所。ここにしかない景色や歴史を感じ、温かい気持ちになってもらえたら」と話した。

会期は8月3日まで。入館無料。午前10時~午後4時。水、木曜休館。

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