渋沢の足跡 県内にも 県庁南館 柳林農社(真岡)史料を公開

下野新聞
2021年6月30日

 県庁南館で開催中の県立文書館の常設展で、NHKの大河ドラマ「青天を衝(つ)け」の主人公渋沢栄一(しぶさわえいいち)が経営に携わった株式会社「柳林(りゅうりん)農社」(現・真岡市)に関する史料9点が公開されている。後に「日本資本主義の父」と称される渋沢と本県との関わりをうかがうことができる。

 柳林農社は1874(明治7)年、蚕種(蚕の卵)製造と製茶を目的に設立された。出資者には渋沢や、いとこの渋沢喜作(きさく)と福田彦四郎(ふくだひこしろう)ら渋沢一族5人が名を連ねる。常設展には福田の子孫が文書館に寄託した史料の一部や、渋沢家の家系図などを並べた。

 当時、大蔵省を辞して実業家として歩み始めた渋沢が福田に送った手紙には、会社設立に当たり、県庁に提出する書類に関する指示がしたためられている。蚕種事業が伸び悩み、貸金業に乗り出す協議の際の史料も展示。不況のあおりで貸金業も振るわず、会社は13年余りで廃業した。

 文書館の森住房則(もりずみふさのり)指導主事は「近代草創期の会社経営の一端を知る機会になれば」と話している。

 展示期間は来年6月中旬まで。このほか江戸期の村の経営などが読み取れる展示もある。無料。土日と祝日は休館。

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