《旬もの》チップ使いみずみずしく ブルーベリーやすだ(かすみがうら市) 加工品も開発

茨城新聞
2021年7月3日

小さな粒の中にぎゅっと甘酸っぱさが詰まったブルーベリー。年間通じて食べられると思われがちだが、国産の生のブルーベリーが食べられるのは6~8月の夏場のみ。茨城県かすみがうら市の農園「ブルーベリーやすだ」=安田治代表(65)=では、6月中旬、紫に色づき始めた果実がたわわに実っていた。

同園は、1.5ヘクタールの土地で年間約6トンを生産。ブルーベリー狩りができるほか、水郷つくばブルーベリー部会や都内のスーパーなどに出荷している。ジュース(310円)やアイス(350円)といった加工品の開発にも取り組み、同園や市の物販店「かすみマルシェ」などで販売する。

農園を訪れると、畑に木材を砕いた「チップ」がたくさん落ちていた。「チップは保水力があるため、実の付きがよくなり、みずみずしい果実ができる」と安田さん。春に10トントラック50台分を敷き詰める。肥料の役割に加え、収穫の邪魔になる雑草が生えるのも防ぐため、欠かせないという。

安田さんが就農を決意したのは、59歳の時。親戚に貸していた畑が返ってきたことから「何か作らなければ、耕作放棄地になってしまう」と危機感を覚えたのがきっかけだった。定年後の暮らしも見据え、会社員から生産者へ転身。相談に訪れた市役所から、同市でブルーベリー栽培や加工品開発を行う「坂農苑」の坂尚武さんを紹介された縁で、ブルーベリー栽培に乗り出した。

畑作りは、以前作られていたナシの木を撤去することからスタート。坂さんのアドバイスを受けながら、土に硫黄の粉末を入れるなどして酸性の土壌を作り、ブルーベリーにとって最適な環境を整えた。

ブルーベリーは大きく分けて2種類ある。「6月から実がなるハイブッシュは、柔らかくてフレッシュな味わい。対して比較的遅い時期に実るラビットアイは、しっかりとした歯応えで味が濃いのが特徴」と安田さん。意識して食べ比べると違いが分かるという。

ブルーベリーは色や形などで選別され、パックに詰められる

 

7月は天候に関係なく連日収穫に追われる。房の中から熟したものをピンポイントで選び取るため、「ロボットでは無理」と安田さん。家族やパート従業員らで摘み取りや選別など出荷作業に励む。「ハードだけど、忙しい方が性分に合う」。安田さんの表情に充実感が漂った。

メモ
ブルーベリーやすだ▽住所はかすみがうら市下佐谷844
▽(電)090(1032)8149
▽ブルーベリー狩りは中学生以上500円、小学生300円、未就学児は無料。30分食べ放題で、100グラムのお土産が付く。それ以外は、100グラム200円で持ち帰り可能。
▽https://www.blueberry-yasuda.com

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