長屋門再生、ギャラリーに 小美玉 築160年、風格保つ 23日までライブペイント

茨城新聞
2021年5月19日

茨城県小美玉市与沢で緑化用樹木の生産・卸を営む会社、グリーンセンター中村園芸(中村顕人社長)の事務所兼住宅の敷地内にある古びた長屋門が、外観などの風格を保ちながら絵画ギャラリーに再生され、13日にオープンした。福岡県の画家が描いたカラフルなアクリル画8点を展示しているほか、同じ画家によるライブペイントも23日まで公開で行われている。

中村社長などによると、この長屋門は江戸時代の幕末期の建築。築160年ほどとみられるが、最近は物置になっていた。

ギャラリーに改装された長屋門

 

「傷んで傾いていたため、取り壊しも考えたが、残すべきという声もあり迷った」と中村社長。思案を重ねた結果、ギャラリーとして再生することにし、昨年11月から工事していた。展示する作品については、かねて色使いなどの作風に引かれていた福岡市の画家、KOGAKEN(コガケン)さん(35)に制作を発注。ギャラリーの名称も「KOGAKEN ART GALLERY 登翔庵」とした。

展示スペースは、床(約25平方メートル)と土間(約18平方メートル)がある。床の方の白い壁面には、マリリン・モンローやバナナなどがカラフルに躍動感のある筆致で描かれたアクリル画8点が飾られた。ライブペイントは土間の方を使い、壁面に掛けた全長約6メートルのキャンバスに、日本庭園をモチーフにした作品が11日間かけて描かれる予定だ。初日は午前中、KOGAKENさんが早速、デッサンに取り組んでいた。

設計を担当した吉田建築計画事務所(石岡市)社長、吉田良一さん(54)は、ライフワークで古民家の再生を30年以上手掛けてきた。「耐震性や空調などの機能を現代に沿わせる一方、元の部材をなるべく生かし、もともとの建築の風格を損なわないようにした」という。展示場を見上げると、マツ材の梁(はり)や、かやぶきなどが見える。

中村社長は「こういう形で長屋門を残すことができて良かった。アート作品を、出入りする取引業者の方のほか、関心のある一般の方にも足を運んで見てもらえれば」と話す。

展示作品やライブペイントは無料で午前10時から午後6時まで公開している。ただし新型コロナウイルス感染防止対策のため事前予約が必要。問い合わせは同ギャラリー(電)0299(54)0111

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