例幣使の奉納品紹介 佐野市郷土博物館企画展 朝日森天満宮所蔵、天神像や和12年ごと公開、外部で初

下野新聞
2021年5月15日

 【佐野】「天神様」として親しまれる菅原(すがわらの)道真(みちざね)をまつる朝日森天満宮(天神町)に伝わる日光例幣使などの奉納品を紹介する企画展が、市郷土博物館で開かれている。奉納品の公開は12年に1度、丑(うし)年に行われているが、同天満宮以外での本格的な展示は初めて。室町~昭和期に描かれたさまざまな天神像や例幣使の和歌など約50点が披露され、15日には県立美術館の橋本慎司(はしもとしんじ)学芸課長による記念講演会も開催される。

 同天満宮は1023年創建、1602年の佐野城築城に伴い唐沢山麓から現在地に移ったと伝えられる。

 江戸期には、春の日光東照宮例祭に合わせて派遣された日光例幣使が同天満宮参拝を通例としていたとされ、同天満宮には例幣使によるさまざまな奉納品が残っているという。これらは道真の干支(えと)にちなみ、丑年に公開されてきた。

 今年は同博物館が初めて、「朝日森天満宮~日光例幣使参拝の神社」と銘打ち企画展を開催。茂木克美(もてぎかつみ)館長は「改めて奉納品を調査し、全国的にも貴重な文化財が数多く保管されていることが分かった。現代的な視点で展示した」としている。

 見どころの一つは、室町時代の水墨画家啓宗(けいそう)が描いた、怒りの表情の「束帯天神像」。天神像はこのほか、江戸、大正、昭和期の作品もあるが、時代とともに穏やかな姿に変わり興味深い。このほか仁孝天皇が畳の上に敷いたとされる「御茵(おんしとね)」や日光例幣使などが奉納した和歌をまとめた「例幣使献詠短冊帳」なども展示されている。

 記念講演会は15日午後2時から同博物館講座室で開かれ、テーマは「関東水墨画と天神像」。

 企画展は6月20日まで。入館料は一般220円。(問)同博物館0283・22・5111。

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