木目生かし独自の世界観 水戸・常陽史料館 上渕さん企画展

茨城新聞
2021年4月7日

木に絵を描くつくば市在住の画家・上渕翔さん(38)の企画展が、水戸市備前町の常陽史料館で開かれている。木目を生かしながら独自の世界観を表現した大作や、伝統工芸品とコラボした生活に溶け込む作品計58点が展示されている。会期は5月23日まで。

上渕さんは熊本県出身。筑波大芸術専門学群洋画コース卒業後、油彩画を描き、作品を発表してきたが、「油彩画の購入者は限られている。より幅広い人に楽しんでほしい」などとの思いから、2011年からキャンバスから木材へ表現の場を移した。

会場には、竜や鳳凰(ほうおう)などをモチーフとした大作が飾られる。ケヤキの戸板に、ウサギやキクの花などをアクリル絵の具で描いた大作「導く者~月兎(げっと)」は、力強い木目が生かされた神秘的な作品も目を引く。

また、伝統工芸品とのコラボ作品も紹介される。結城市の老舗「柿沼下駄(げた)屋」の桐(きり)下駄に、上渕さんが電熱ペンで木材を焦がし描く技法「ウッドバーニング」で、ボタンとチョウを描いた艶やかな品や、野性味あふれるサファリ画の作品も目を引く。

会場を訪れた、フラワーデザイナーの奈良早苗さん(70)は「男性と女性の持つ感性が融合している」と見入っていた。上渕さんは「木々の木目や形の面白さを感じてほしい」と来場を呼び掛けた。午前10時~午後5時45分。毎週月曜休館。問い合わせは(電)029(228)1781。入場無料。

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