基礎からマニア向けまで 県立博物館「ディープな日光」展 28日まで 自然や動植物など紹介

下野新聞
2021年3月16日

日光の地形や地質、そこに暮らす動植物などを紹介した企画展「ちょっとディープな日光の自然ガイド」が県立博物館で開かれている。奥日光の豊かな自然や多彩な生き物の姿を標本や写真で展示し、基礎知識からマニア向けの深い情報まで、幅広く取り上げた。コロナ禍でも入館者が1万人を超える健闘ぶりで、「日光は栃木県の宝。深く知ることで、あらためてその魅力を感じてもらえれば」と林光武(はやしてるたけ)学芸部長兼自然課長は来場を呼び掛ける。

自然課では県内をいくつかの地域に分け、各5~7年間にわたり調査している。今回の展示は2013年から7年間実施された「日光の自然総合調査」の成果を基に、日光自然博物館などの協力も得ながら、4章で構成した。

奥日光に連なる山や湖、湿地など、日光国立公園の中核をなす景観は、中生代から新生代にかけての四つの時期に分けて形成された。1章では、地形の枠組みや成り立ちを解説したほか、明治・大正時代に栄えた金鉱山、火山の恵みである温泉、土砂災害と治山事業についても触れており、郷土史としても意義深い。

動植物を取り上げた2章は、長年撮りためた四季折々の写真が壮観。産卵のため中禅寺湖に流入する川をさかのぼるサケ科の魚類を狙うオジロワシなどの剥製も並び、変化に富んだ景観に応じて生きるさまざまな姿が見られる。ニホンジカの食害や奥日光に侵入した外来植物が生態系に及ぼす影響を明らかにしたコーナーにもぜひ足を止めてほしいと林部長。

実際の観察ポイントを紹介した3章、水量変化が激しい沢に生きるハコネサンショウウオの幼生が流れに逆らい必死に岩を上る動画、奥日光で至る所に見られるズミにそっくりなエゾノコリンゴの見分け方などを解説した「ディープ」な4章まで、担当した学芸員らのこだわりと関心の深さがぎっしり詰まった企画展になっている。

先月26日には開幕から約1カ月で来館者1万人を達成。「感染症対策を行っているので、安心して見に来てほしい」としている。

28日まで。入館は一般260円、高校・大学生120円、中学生以下無料。(問)同館028・634・1311(月曜休館)。

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