疫病退散、平安願い 足利の草雲美術館 鍾馗図など展示

下野新聞
2021年2月16日

【足利】新型コロナウイルス禍に疫病退散と世の平安を願う企画展「鍾馗図大幟(しょうきずおおのぼり)と富嶽図」が3月21日まで、緑町2丁目の草雲美術館で開かれている。

同美術館は、幕末から明治にかけて活躍した南画家田崎草雲(たざきそううん)の遺作を保存、公開している。企画展は昨年12月、茨城県坂東市の旧家から新たに幟など8点を譲り受けて開いた。

会場入り口には、高さ4メートルの「鍾馗図大幟」を掲示。新寄託の「神功皇后図幟(じんぐうこうごうずのぼり)」と「武内大臣図幟(たけのうちあそんずのぼり)」は同5メートルの対の大作で、身重の体で朝鮮出征し勝利した逸話が記紀に残る神功皇后らの勇姿が描かれている。

平安を願う霊峰として、富士山や筑波山を描いた7作品を展示。「行道山」を描いた葛飾北斎(かつしかほくさい)作、名橋奇集の多色木版画「くものかけはし」も市ゆかりの作品として紹介している。

学芸員大森哲也(おおもりてつや)さん(61)は「混乱の世を生き、平安を願って制作にいそしんだ草雲らに思いをはせながら見てほしい」と話している。

午前9時~午後4時。入館料は一般・高校生220円、中学生以下無料。月曜休館。(問)同美術館0284・21・3808。

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