水害、コロナ乗り越え 大子・上小川キャンプ場、4月上旬本格再開

茨城新聞
2021年1月6日

2019年10月に発生した台風19号(東日本台風)による久慈川の氾濫で、バンガロー3棟を残して35棟が流されるなど大きな被害を受けた大子町頃藤の「上小川キャンプ場」。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で工事が遅れながらも、昨年11月にはプレオープンを果たした。今春の本格再開を目指し準備を進めている。

上小川キャンプ場は前回の東京五輪の翌年の1965年8月に開業した。3代目の経営者、竹内智洋さん(66)は時代とともに変わりゆくキャンプ場のスタイルや利用客のニーズに応えながら、半世紀以上にわたって憩いの空間の提供に力を注いできた。

久慈川の河川敷という立地から、「幾度も水害に遭い、その度に改修を重ねてきた」。しかし、台風19号はかつてない猛威を振るった。「キャンプ場が跡形もなくなり、足を踏み入れることさえできなかった状態に、ただぼうぜんとするしかなかった」と振り返る。

キャンプ場の経営は、竹内さんの生きがいだった。「しばらく何もやる気が起きなかった」。それでも、片付けの手伝いに駆け付け、発電機を持ち込むなどして励ましてくれた常連客や、妻や息子2人の支えが、再起に向かう背中を押した。

こうした中、新型コロナの感染拡大に伴い建材搬入が止まり、工事が中断するなど早期再開への歩みは阻まれた。関係機関には再開に向けた補助金や建設許可の申請に何度も足を運び、昨年8月、ようやくキャンプ場整備が始まった。同10月に電話線が開通し、翌11月にプレオープンにこぎ着けた。

10日間の開業に限定したプレオープンは、コロナ禍もあり、定員を半分の40組100人に制限。それでも、初日の3連休には定員を満たし、開場の午前9時を前に、続々と県内外の利用客が訪れた。

キャンプ場は冬季にいったん休場し、今年4月上旬の本格再開を目指す。長男の佳久さん(31)も運営に加わり、バンガロー中心だった従来のスタイルから、需要が高まっているオートキャンプ場として生まれ変わる。

竹内さんは「1年近く休場していたので不安もあったが、プレオープンで手応えを感じた。多くの利用者に楽しんでもらえる『新生』上小川キャンプ場にしたい」と意欲を見せている。

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