雲巌寺、独自土産を考案 大田原 扇子とクリアファイル 活性化へ地元店で販売

下野新聞
2021年1月1日

【大田原】臨済宗妙心寺派の名刹(めいさつ)雲巌寺が、参拝者向けにお土産を製作し、28日から須佐木の商店「ヤマザキショップ須佐木かなめ店」で販売する。門前など境内周辺は「聖域」と考え、物販はしていないが、若者流出防止や地域社会の維持・活性化を願い、同寺として初めて「雲巌寺ブランド」を生かした独自の土産物を用意した。今回は扇子とクリアファイルで、同店で参拝者らに販売する。

同寺には参拝者などから訪れた記念として土産物の要望があった。原宗明(はらそうみょう)老師(76)が書き置きした御朱印のほか、老師の言葉の刷り物や色紙などはあったが、参拝者向けの本格的な土産物はなかった。

同寺は心橋から梅船橋までは聖域として販売行為を禁止しているが、須佐木地区で唯一の小売店閉店に伴い原老師の私財提供などにより新体制で存続した同店は、聖域外の場所という。

今回、参拝者の要望も踏まえつつ、少子高齢化に直面する同地区の活性化を図ろうと土産物を製作するとともに、住民の利便性維持や買い物難民防止のために引き継いだ同店のみで、販売することにした。

原老師は「聖域外での販売なら雲巌寺の空気感に影響はない。オリジナルの品物を機に、地域おこしに発展してもらえたら。若い人がこの土地に魅力を見いだしてもらいたい」と話す。

その上で「工夫次第でやっていけることに気付いてほしい。それを示すため、寺が率先し地域のために力を向けたい」と明かした。

土産物は、京都の美術工房「京都便利堂」が製作した。「真理を悟った者には暑さも寒さも清風である」と説く原老師直筆の「處々(しょしょ)清風」と書かれた扇子(税別3千円、限定300個)と、同寺の四季の写真を題材にしたクリアファイル6種(A4判税別330円、B5判同280円、各2千枚)。橋の紅葉と雪景色は原老師が撮影した。(問)同店0287・57・0108。

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