昭和レトロ残し明るく アーケードなど改装、再生 前橋・呑竜マーケット

上毛新聞
2020年11月30日

 昭和の雰囲気を残す前橋市千代田町の飲食店街「呑竜仲店(呑竜マーケット)」が改装されることが分かった。古き良き時代の名残をとどめる建物や看板はそのままに、アーケードの屋根を替え、通りにちょうちんを取り付けて、明るく入りやすくする。すでに一部工事が始まっており、来年1月に「呑竜横町」として再出発する予定。関係者は「前橋の新たな名所にしたい」と意気込んでいる。

 呑竜仲店は1947年、前橋空襲による焼け野原に飲食店などが軒を連ねる市内初のマーケットとして誕生した。82年の大火でほぼ全焼したが、店主でつくる協同組合が建物を再建した。かつては20軒近くあったが、現在は6軒が営業。組合員は3人に減り、年齢を重ねて体力的にも維持が難しくなったため、組合や建物を引き継いでくれる人を探していた。

 市内で映像制作業や飲食業を手掛ける黒岩千春さん(66)が実情を知り、後継者となることを決意。組合員だった店主2人は店子(たなこ)となり、9月に黒岩さんを理事長とする新体制が発足し、改装工事も始まった。

 計画では、昼間でも日が差し込むよう、アーケードの屋根は透明にするが、昭和のレトロな雰囲気を残すために修復は最小限にとどめる。床はそのままで、建物の壁面は洗浄、補修する。アーケード両端の出入り口は目立つようにする。西側壁面は竜のデザインとし、東側壁面はちょうちんと酒だるを一面に配置。アーケード内にも数多くのちょうちんを掲げ、明るく入りやすい雰囲気にする。

 旧組合員で、スナック「えくぼ」を営む湯浅里美さんは「若い人たちに引き継ぐことができて良かった。世代を超えて親しんでもらえる場所になれば」と期待する。黒岩理事長は「昭和の香りが漂う場所を残したい一心で引き継いだ。年配の方には懐かしさ、若い人にはレトロ感を味わえる場所として、新たなにぎわいを生み出したい」と話す。

 近く、立ち飲み屋などが新たに加わる予定。同組合はさらに参加店舗を募っている。家賃は月3万5千~4万5千円。問い合わせは組合理事の吉田貴行さん(090-9018-2840)へ。