《食いこ》築120年の日本家屋を再生 水郷旧家磯山邸(潮来市) ぜいたくな時間過ごす

茨城新聞
2020年11月9日

潮来市の「水郷旧家磯山邸」は約120年前に建てられた日本家屋。近くには水郷潮来あやめ園に続く前川が流れ、水郷情緒にあふれる。1棟貸しの宿泊施設ながら、宿泊客がいないときは喫茶スペースとして利用できる。

磯山邸を運営する株式会社「いたこ」のまちづくり観光事業部チーフマネージャー、堀内信義さん(57)は「都会からのお客さまには古民家体験ができると喜ばれている。潮来のイメージアップにつなげ、リピーターを増やしたい」ともてなしに心を尽くす。「テレビも時計もカレンダーも置いていない。時間を忘れて、何もしないぜいたくな時間を過ごしてほしい」

潮来駅から徒歩7分。街中にある古民家で、秋晴れの午後、爽やかな風が吹き抜ける。電車の音や子どもの遊ぶ声が心地よいBGM。しばし時間を忘れ、まったりとした気分に浸れる。

磯山邸は約10年前、当時の所有者が同市に寄贈。同市が古民家の雰囲気を残して建物を改装し、2017年ごろから地域イベントなどに活用してきたが、委託を受けた「いたこ」が19年8月から宿泊を始めた。同年12月から喫茶の「甘味処」を開き、宿泊以外の利用もできるようになった。

部屋は10畳1間、8畳2間の3室。太いはりやケヤキの大黒柱、神棚、ちょうちん棚が年季を感じさせる。堀内さんが見所に推すのは障子などに施された「組子の建具」。くぎを使わずに木を組み合わせた何パターンもの模様は、思わず見入ってしまうほどの精緻な美しさ。特に床の間のある和室の細かい組子が印象的だ。

甘味処では、抹茶やコーヒー、道の駅いたこで人気のヨーグルトドリンクなどの飲み物のほか、地元菓子店の和菓子と飲み物のセットも楽しめる。宿泊のある場合は利用できないので、事前に電話で確認するとよい。宿泊は自炊できるキッチンを備え、庭でバーベキューを楽しむ客も多いという。

甘味処としても利用できる

潮来はその昔、水運の要所として栄えた地。磯山邸付近は江戸時代、津軽藩の屋敷があったとされる。前川沿いにある「津軽河岸あと広場」や大谷石造りの蔵が風情を添えていた。(佐野香織、写真は菊地克仁)

■お出かけ情報
水郷旧家磯山邸
▼住所は潮来市潮来595
▼甘味処の営業時間は午前10時~午後4時(ラストオーダー同3時半)、営業は電話で要確認
▼定休は月曜(祝日の場合は翌日)と宿泊利用日
▼(電)0299(94)2800

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