澄生が見た北の大地 鹿沼・川上美術館 「北海道」テーマに企画展

下野新聞
2020年10月29日

【鹿沼】睦町の市川上澄生(かわかみすみお)美術館で「北海道と川上澄生 北の大地での収穫」展が開かれている。川上澄生(1895~1972年)が太平洋戦争末期から終戦後にかけて過ごした北海道での生活を通して見た自然や町の風景のほか、アイヌ民族の風俗などを題材にした木版画や出版物の表紙、挿絵など、初公開9点を含む74点が並ぶ。11月29日まで。

澄生は1945年春から49年1月まで北海道で暮らした。白老(しらおい)村(現白老町)から職場があった苫小牧(とまこまい)町(現苫小牧市)までの鉄道での通勤の際に、車窓から見た景色などを作品に残した。

今回、初公開となった木版多色刷りの「樽前山」は赤く染まる樽前山を、澄生の作品には珍しく油絵の具を使用して描いているという。原田敏行(はらだとしゆき)学芸員(39)は「北海道の風景を描くのに、油絵の具の持つ質感を重視したのではないか」と解説する。

また、澄生は「至上律(しじょうりつ)」や「近代詩苑(きんだいしえん)」などの雑誌の表紙絵や挿絵を多く手掛けた。戦後に出版業界が勢いを取り戻し、澄生の自由で明るい作風が新しい時代を飾る作品として望まれたことが背景にあるという。

会場では最新の研究成果として、北海道出身の詩人更科源蔵(さらしなげんぞう)に宛てた手紙から、澄生は「疎開」ではなく「移住」のために北海道へ行ったことなどを推察し、紹介している。

午前9時~午後5時。原則月曜休館。会期中は11月4、24日も休館。入館料一般300円、高校・大学生200円、小・中学生100円。

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