外交資料や書簡150点 近代日本の軌跡紹介 県立歴史館特別展

茨城新聞
2015年11月17日

 外務省が管理する外交史料館(東京)の所蔵資料で、近代日本の軌跡を追った特別展「日本外交のあゆみ」が23日まで、水戸市緑町2丁目の県立歴史館で開かれている。幕末のペリー来航から戦後の首相吉田茂まで150点以上の資料を一挙公開。国際的な公式文書や政治家の書簡など、近代外交史上、重要な役割をもたらした資料が多く並ぶ。

 展示は時代ごとに4章で構成。幕末はペリーの日本遠征を描いた石版画や「日米和親条約」の条約書類が目を引く。明治維新後は、不平等条約の改正に奮闘した外交官らの資料や、日清・日露戦争関連を展示。大正時代を扱う第3章では、野球選手ベーブ・ルースのサイン入りボールを公開。関連の電報からは、文化やスポーツの流行、交流が、外交にも影響を及ぼしていたことがうかがえる。

 太平洋戦争終結時、日本がポツダム宣言を受諾した「降伏文書」は、貴重な原本を展示。日本全権代表の重光葵外相ほか、9カ国代表の署名が残る。

 各条約書の装丁や、条約書の批准書につながった「ろう缶」の細工など技術的、美術的に見事な資料も多い。また、吉田茂が使用した「対日平和条約受諾演説」の原稿は30メートルにも及ぶ長さで、当時「トイレットペーパー」と評されたという。

 県立歴史館の綿引博主任研究員は「約100年間の日本外交を俯瞰(ふかん)できる展示にした。小中高校生にもぜひ、学習資料を実際に見に来てもらいたい」と呼び掛けている。月曜休館。

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