《食いこ》奥久慈の幸と四季の彩り 湯の澤鉱泉(常陸大宮市) くつろぎの宿、日帰り入浴とランチも

茨城新聞
2020年10月5日

常陸大宮市の「湯の澤鉱泉」は奥久慈の里山にひっそりとたたずむ。おかみの五十嵐道子さん(57)が「いらっしゃいませ。お待ちしていました」と明るい笑顔で迎えてくれる。本館と別館を合わせて7室の小さな宿は、日帰り入浴とランチも楽しめる。奥久慈産の食材を中心にした料理や温かいもてなしに県外からの常連客も多い。

同鉱泉は炭酸水素ナトリウム成分のある弱アルカリ性の冷鉱泉。館主の五十嵐強さん(62)によれば、約180年前から湧出し、古くは湯治場として親しまれた。

1999年ごろ、「日本秘湯を守る会」に入会し、強さんは全国の温泉宿の取り組みに刺激を受けた。2002年にタイル張りの風呂を木の香り漂うヒノキ風呂と野趣あふれる岩風呂に改装し、集客力を高めた。「山あいにぽつんと立つ一軒宿は県内では貴重。癒やしの場を長く続けていきたい」と話す。

部屋や風呂から四季折々の風景が眺められる。約8万平方メートルの広大な敷地を有し、夏はホタルが飛び交い、秋はクヌギやナラなどの落葉樹が色づくという。利用客が散策を楽しむ姿も見られる。「今は夜になると虫の音がにぎやかなくらい」と道子さん。

強さんは「料理は冷凍物は使わず、なるべく地元産を使い手作りする」という強い思い入れがある。山から採ってきた春の山菜や秋のキノコなど奥久慈ならではの恵みを板前が調理。自家製の米は稲刈り後、天日干しする。大子町産の刺し身こんにゃくや、同市緒川地区の手打ちそばなども味わえる。きび餅はつきたて、アユの塩焼きは焼きたてで出すようにしている。

奥久慈の味も楽しめる料理

新型コロナウイルス感染拡大防止で、4~5月を休館し、団体客の利用がなくなるなどの影響を受けるが、GoToトラベルの予約が入るようになった。

湯に漬かり、料理に舌鼓を打つ。街のにぎわいから離れ、静かでぜいたくなひとときが過ごせる。道子さんは「家に帰ってきたような気持ちでゆっくりくつろいでもらえれば。ゆっくりしたい、おいしい物を食べたいと、お見えになるお客様に応えたい」と丁寧なもてなしを心掛ける。

■お出かけ情報

湯の澤鉱泉
▼住所は常陸大宮市山方4849
▼日帰り入浴は午前10時~午後4時、宿泊は午後3時~翌日午前10時
▼定休は月曜
▼(電)0295(57)3794

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