《ググっと県西》「集印」台付き案内板、コロナ終息見据え20カ所整備 下妻市

茨城新聞
2020年5月12日

 街中を巡り下妻の歴史に触れてもらおうと、関東鉄道常総線下妻駅周辺の史跡や名所など計20カ所に、下妻市が「しもつま歴史探訪」と銘打った集印台付きの案内板を整備した。集印帳も作り販売の準備も進めていたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛の社会情勢を考慮し、市中に人を呼び込む事業は一時休止。先が見通せない中、事業に関わった市民らは終息後を見据え、市内巡りの来訪者を待っている。(下妻支局・小林久隆)
 
 ▽選定
 
 案内板の設置は、市の2019年度の地方再生モデル事業として行われ、今年3月までに整備した。案内板の設置場所は、下妻駅をはじめ、その周辺にある光明寺や下妻神社などの神社仏閣、多賀谷城本丸跡、観光名所の砂沼など計20カ所。市や観光ボランティアガイド「下妻いいとこ案内人の会」などが複数の候補を挙げ、選定した。
 
 各所の由来付きの案内板は、高さ約110センチ、幅と奥行きが各10センチの正方形。集印台に集印帳を押し当て、付属の棒でこすると訪れた証しの「集印」が浮き出る。この手法は、長野県野沢温泉村の野沢温泉観光協会が実施しており、参考にしたという。

「小野子観音堂」を紹介する案内板

 
 事業の狙いについて、市都市整備課の担当者は「下妻は下妻駅の周辺に神社仏閣が多い。街中を回遊してもらい、人を呼び込みたい。子どもたちが街の歴史を学び、地元を知ることにもつながる」と話す。
 
 ▽準備
 
 市は手のひらサイズの集印帳を2千冊製作。5月1日から1冊500円(税込み)で販売をスタートし、来訪者が全20カ所の押印を集めれば記念品を贈呈する手はずだった。事業が休止状態になる中、その開始を心待ちにする市民がいる。
 
 案内板の一つ、小野子観音堂(下妻市下妻乙)。鎌倉時代後期の作で、県指定文化財「木造 千手観音坐像」が安置され、管理する小野子地区の住民により、毎年1月18日と8月9日に公開されている。
 
 「地域の宝」にスポットが当たり、氏子総代の吉井弘さん(81)は「700年守ってきた千手観音。皆さんに知ってほしい」と語り、小野子町代表区長の野手稔さん(57)も「ご開帳に合わせ、安産祈願のお札も用意する。ぜひ立ち寄って」と話す。
 
 下妻いいとこ案内人の会の粉川孝会長(75)は、20カ所を回り、各所の特徴を1冊の資料にまとめる作業に入った。「いつでも案内できるように会のみんなで共有したい。効率良く巡るルートも考えている」と再びガイドができる日を待ち、準備を進める。
 
 コロナ禍で、市内の各種イベントや市民活動が停滞している。我慢の時を抜け出した後、「しもつま歴史探訪」が動きだす。
 
 【案内板の設置場所】
 (1)雲充寺(2)小野子観音堂(3)旧ビンフォルド邸(4)光岸寺(5)高福寺(6)光明寺(7)五所神社(8)砂沼(9)下妻駅(10)下妻街道(11)下妻神社(12)城山稲荷神社(13)新福寺(14)陣屋公園(15)多賀谷城(下妻城)本丸跡(16)多宝院(17)普門寺(18)百体観音堂(19)林翁寺(20)Waiwaiドームしもつま

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