《食いこ》4種類の砂糖で味に深み 「反射炉のてっぽう玉」 ひたちなか・稲葉屋菓子店

茨城新聞
2020年5月11日

 ひたちなか市那珂湊地区にある稲葉屋菓子店。1887(明治20)年に建てられたという趣ある店舗の前を那珂川が流れる。店の前から赤い海門橋が見える。海が近い。店の名物は建物の雰囲気にぴったりの素朴なあめ。その名も「反射炉のてっぽう玉」。店主の稲野辺勉さん(74)は子どもの頃からあめ作りを手伝っており、昔ながらの製法を受け継ぐ。

「反射炉のてっぽう玉」

 まん丸の黒いあめは三温糖、黒糖、玉砂糖、中ざら糖の4種類の砂糖を使って作る。濃淡はあるがいずれも褐色で、粒子の形や大きさが異なる。料理でこくを出すのに使われたりするという。「4種類を組み合わせることで、味に深みを出している」
 
 黒糖、玉砂糖、中ざら糖と水あめ少量。これらを沸騰するまで煮立てたら、三温糖を加えて煮詰める。「耳たぶぐらいの硬さ」になったら成形し機械でカット。手で丸めて形を整える。「春夏秋冬で煮詰めるときの温度は違う。温度を調節することで、口溶けのよいあめができる」。1袋150グラム、約15個入り。
 
 あめの名前の「反射炉」は、店の近くにある県史跡「那珂湊反射炉跡」から採った。反射炉とは、大型の金属溶解炉のこと。安政年間に水戸藩9代藩主の徳川斉昭が海防の要として、鉄製大砲を鋳造するため建設させた。1864(元治元)年の元治甲子の乱で壊されるが、1937(昭和12)年に模型が復元された。
 
 ほかに、珍しい白あんのドーナツやアーモンドの粉末をたっぷり入れたサブレなども人気。「地産地消」の三浜焼きは県産サツマイモのあんに同市産の干し芋が入る。
 
 「新型コロナウイルスの影響で、いつものゴールデンウイークより車の通りも人出も少ないね」。今年は静かな大型連休となった。店の前に置かれた、稲野辺さん自作の反射炉のミニチュア模型もどこか所在なげ。
 
 取材を終えて帰る途中、あめを頬張ると、すっきりとした後味の甘さが広がった。「懐かしい味がするよ。黒糖だけで作る黒あめとはひと味違う。がんこに手作りしている」。稲野辺さんの言葉を思い出した。
 
 ■お出かけ情報
 稲葉屋菓子店
 ▼ひたちなか市栄町1の7の21
 ▼新型コロナウイルス感染防止のため、現在、営業時間を午前8時半~午後5時に短縮。(通常は午前8時~午後6時半)
 ▼(電)029(262)3701

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