旅の書家、作品と印章 古河で桑原翠邦展

茨城新聞
2015年11月6日

東宮御所で皇太子さま(徳仁(なるひと)親王)への書道御進講を務めた書家、桑原翠邦(すいほう)氏(1906~95年)に焦点を当てた企画展「桑原翠邦用印展」が、古河市中央町2丁目の篆刻(てんこく)美術館と古河街角美術館の両館で開かれている。桑原氏の用いた山田正平氏(1899~1962年)や高石峯(こうせきほう)氏(1906~93年)ら当時最高峰の篆刻家による印章と、桑原氏の書作品を併せて展示。書家と篆刻家の交遊関係を作品でたどることができる。

桑原氏は北海道帯広市出身で書の研究団体「書宗院」の創設者。書壇と一線を画し、年間の大半を地方を旅して過ごす「旅の書家」として知られた。
一方の山田氏は昭和を代表する篆刻家で、歌人の会津八一や日本画家の小川芋銭(牛久市出身)と交遊があった。高氏は韓国出身。戦前に母国の独立運動に参加、戦後には故朴正熙(パクチョンヒ)大統領の印章を作成したことでも知られている。
同展では桑原氏の書作品62点を古河街角美術館に展示。桑原氏の用いた印章105点は篆刻美術館に展示している。
両館の伊藤俊行館長は「どの篆刻家の印がどの書に用いられているか、翠邦がどのような思いでその印を用いたのか想像するのも面白い」と話している。
会期は23日まで。入館料は大人300円、高校生以下100円。問い合わせは古河街角美術館(電)0280(22)5611。

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