坂東郷土館で企画展 清澄と華麗、仏画対比

茨城新聞
2019年11月29日

2人の仏画作家を取り上げた企画展「描かれた仏たち~日本画家・田中嘉三とあや絵作家・川崎是空~」が、坂東市山の坂東郷土館ミューズで開かれている。厳粛で清澄な日本画を描いた田中嘉三と、独創的で華麗な色彩を放つ「あや絵」を制作した川崎是空の対比する仏画作品約80点を展示している。12月27日まで。

嘉三は1909年笠間市に生まれ、14歳から同郷で日本美術院同人の木村武山に日本画を学んだ。67年に生涯の幕を閉じるまで、洗練された仏画や風景画を制作した。

第2次世界大戦後の混沌(こんとん)とした社会と、それを見守る仏を表現した「大仏殿炎上」や、再興第33回院展で院賞首席を受賞した「一字金輪仏」のスケッチなどを展示。武山師事後間もなく描いた「月見観音」や、入院中に描いた最後のスケッチなど嘉三の生涯を感じる作品も見ることができる。

是空は22年に石川県に生まれる。京都西陣織の図案見習い後、着物染色の道に進んだ。74年に染色村建設に当たり水海道市坂手町(現・常総市)へ移住。60歳を過ぎ、独自に編み出した「あや絵」で仏画制作に取り組んだ。

あや絵は、着物帯などに使用される織物・佐賀錦を染色し、図案に従って切り貼りする技法。彩色を極めた是空だからこそ表現できる絵画は、生地に織り込まれた箔糸(はくいと)の輝きが、照明や見る角度により変化する。世界平和を願いながら描いた仏や天女が豪華に展示されている。

同館の秋森裕之主幹は「日本画の静粛さとあや絵の優雅さの対比が面白い。同じ仏画でも画風の違いを楽しんでもらえれば」と来場を呼び掛けている。

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